使者

晩秋の帰り道

雨上がりの曇り空

はらり 赤い名残のもみじが

今日か 明日かと

散る時を逃し泣きぬれている



 

巻き戻し 不可

消去 できませんでした



 

小春日のあの時の

しゃべりすぎた言葉たちは 恥ずかしげ 

行き場もなく騒音に紛れ

大通りのむこうの ショウウインドウに跳ね返り

また 跳ね返り 

雨を呼ぶ雲にまで届き 吸収され

やがて 誰もが肩をすくめ黙り込み

重たいグレイの湿り気に包まれてゆく



 

使者は語る

残るは 消せぬ過去のみ だと



 

うなだれて言われるがまま

この街は これから始まる

長い冬の知らせに 従うのみ だと