夏の終わりの風の知らせ

灰色のアスファルトと

灰色の空と灰色の車の並んだ広い駐車場に

少しだけ冷たい空気を含んだ風が通り抜ける

みんみんとセミが鳴く街路樹の歩道

自分の車を探しながら歩く



残暑 むんとした汗が額ににじむ

と 風が変わった

不意打ちをくらい追っ払われた猫のように

いきなり新鮮な水に放たれた店先の魚のように

わたしは急いで胸を広げ風を受ける



確かに。確かに。

北の地に咲く小さな花達を 揺らした風に似ている



ふと 街路樹の小さなタメ息が聞こえた



緑のたわわな葉を熱風に揺らしていた季節が

終わることを彼らは瞬時に悟ったのだ

「これから、ちってゆくんだよ」

だんだんと色あせ、そしてしわくちゃになり土にかえるんだ



灰色の空に白いもや筋が流れる頃

夏が終わると

せつない風の知らせを受けて

地上が 外気が ふるふる震えている