もぐら
 
 
 
 
 
ひとかき

両手をひろげるだけで

水は鼻先で左右に別れ

ワタシの進む道は その先に広がる

透明な水の中を泳ぐ

夢を見た

 

 

ざらつく舌

砂のプールで

もがくのに疲れると

空は青く 黙ったままで

雲は哀れみのミルク色

静かにワタシを見下ろしている

 

 

砂のあたたかさに誘われ

はだしのつま先を差し入れた

それからずっとこうして上を向いて

砂のプールに浮かんでいる

 

 

この砂を下へ下へともぐっていけば

ワタシの身体は銀色のナイフになり

きっと

ひとかき

海と空のすきまから

永遠のブルーの空間へとすべりだす