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糸 |
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果てしなくゆがんだ宇宙を持っていても 善人の姿でもあり 花を愛する フライパンの中味が 黒こげでも ラジオから流れるサイケな歌にのり 想いはお勝手の窓から 外へ 飛んで うす曇りの空に溶ける 綿帽子に包まれた 優しい姿の私が ここまでの道すがらを 出会っては別れてきた 数々の想いを 誰に伝えるでもなく 辿りはじめるスライドショー ひとり遊びは続く 帰り道は 忘れぬように 細い糸しっかりと 手に握りながら 戻る世界を確保しつつの浮遊 復路の切符を握り締め 飛べない訳はここにある 美しい世界 風 みどりの樹 愛しいのはうそじゃない 宵の口 ひとり乗るブランコは こんなに淋しいよ 知りもしないで、と 黄昏の風が 肌にしとりと よそよそしい お勝手の窓はいつでも開いている 現世の糸のほつれをつくろいながら 空を見ている
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