永遠の夕暮れ
 
 
 
 
 
風にちぎられた雲と太陽が

西の空に去ってゆくのを

鳴き合いながら高く舞うカラス達と

見届けたあと

ベランダにうすむらさきのたそがれが吹き

アルコールの缶は拗ねたのか

カラリカラリと転がった

 

旅の最後の日

陽が沈み急に冷たくなった波が

もうおかえりと 素足を洗った

私は帰りたくなくて

にぎりしめた指をひとつずつ解いて

切符を波間に落とした

 

いまから沈んだ太陽を

追っかけて行ってもいいかな

もうずいぶん向こうのほうへ

行ってしまったかな

 

夕焼けの名残りの雲は港のかたち

入り江に船が戻る

カラス達は夕風にのり 太陽を追いかけて

今から西へと行と私を誘う

 

たそがれが

羽のない私の背中を撫でるように

なぐさめの言葉をくれた

「あの日の海の街から吹いてきたんだ」と

私はそのまま黙って風に吹かれてた

ウソでも嬉しいから