晩秋の遊園地にて
 
 
 
 
 
高いところは好き

勇んで乗ったコースター 走り出したとたん 

風に縛られ がんじがらめ 

 

振り回したバケツの中の遠心力

ただ なされるまま

必死でバケツにはりつく水

 

こんなはずでなかった

バーにしがみつきひたすら耐える

 

粉ふき芋のよう 北向きの風が吹きつける白い頬

固くつぶった目の端に見えたのは

オレンジ色が 西空いっぱいに広がった

 

鮮やかな 夕焼け光線

 

やがて 

だらしない水の揺らぎの中 力なく思う

空っぽのバケツだったのなら

どこへでも飛んでいけたのかしら?

 

コースターのてっぺんから ふわりひゅうと

強い風にのって

 

あの夕日の彼方へも

飛んでいけたのかしら?