人待ち草
 
 
 
 
 
目覚めると 空気が重たい

カーテンに朝日の気配はなく 静かに眠り続ける部屋

水 木 金 …

ベッドの中で曜日をつぶやき 確かめる

空が暗い それは何よりの贈り物

シアワセそうな土曜日と日曜日を消し去って

お天気の週末がキライ

 

カンカン… 私は 大きな耳になる

アパートの階段を上ってくる足音

それは失望の音でもある

私のドアの前で止まるはずもない

ポストに 郵便が落ちる音を待ってる

もう誰も 手紙なんて書かない

 

手当たり次第 メールを送る

気持ちが萎えてしまわぬうちに

後悔が襲わぬうちに

急いで送信ボタンを押す

電波たちは雲霞のように くもり空に飛び立つ

 

「ダレカ ヘンジヲ チョウダイ」

 

私は人待ち草

自己嫌悪を抱きしめて

ホタルのような着信の小さな明かりを待つ

 

テレビをつけると

薄ピンク色した女の子が

「天気予報ハ 午後カラ雨デ〜ス」

 

ベッドに横たわる 私は食虫植物

ひざに顔をうずめ 内側にまるまっていく

天井のシミが誰かの顔に見えた

 

雨降れ土砂降り雨

誰も家から出られないほど 

週末の予定は全て中止

激しい雨に打たれ

土曜日と日曜日も消えて

消えて