風景(夏・冬) |
夏 思わず路肩に車を止めて 夕空を見上げた
ずっとずっと見ていた 水色と青とオレンジとねずみ色と 想像を超えた あらゆる美しい色と形の競演
誰のものでもない それは神の巨大なキャンバス
5階の踊り場からでも トウモロコシ畑の真ん中でも
その時 人は ただ見上げるのみ おのれの存在をすべて脱ぎ 我を捨てキャンバスの下に立ち
空とひとつになる 地球とひとつになる
神は惜しげもなく おのれの芸術を地上にさらす
冬 昨日までのお天気はお休み お昼前から 優しい雨が降っています
散り始めた落葉樹の上に ネコが雨宿りしている軒先に 重さで首をたれた千成り柿の上に
11月も折り返し この街の気温は冬を迎えている
寒さが雨の音を飲み込んで またいっそう 静かに 冷たく 針のように 冬のおとづれを告げる
今日の雨は 町を包むように降る 誰にも優しく |