彷徨



朝からベッドの中で

眠りの粉がまかれたように

こんこんと舟をこぐ

 

この舟 4時の鐘がなるまで

行き着くところもなく 時間の波を

右から左 上から下へさまよう

 

蓄積した不誠実や

押さえ込まれていた非日常は

現実を微妙にゆがませ

眠りの中へ 私をここへ連れてきた

 

校舎の前の四つ角で 足が動かず

柳の木下で 足が動かない

私は

目と耳を研ぎ澄ます

ここが本来私のいるべき場所という

かすかな思いを忘れぬように

 

解き放たれた もう一つの世界でも

秩序というコトバを まだ握りしめ

どこの港にも 泊まることすら出来ず

まして 下りたつ事など

 

あの鐘は

百舌の引き裂くような鳴き声

手に 濡れた柳の葉の感触すらなく

目を覚ます

私は 頭の中の重たい歯車が 疲れたように

再び動き出すのを感じている