フレンズ




トイレの横の湿った鏡に微笑んだ

お下げを結びなおし

自分なりに ほんの少し前髪も直したつもり

 

先生 絵を見てください

自分なりに 描いてみました

先生 この木炭 運びましょうか

はい 失礼します

 

振り向くと

階段の隅っこに座っていたはずの影達は

きしりきしりと小さな音を立て 消えていた

 

いいの グリム童話を読み直すから 

格子窓の隙間から そっとのぞく

初冬の校庭

 

紺色のひだスカートが

くるくるひるがえる 午後4時の校庭 

光をうけた長い影達は

人形劇のように動いている

 

階段を風とささやきが

すり抜けてゆくけれど

宝物は ここにある 手のひらの中に

そうつぶやいて ズックを履く

 

私は殻をかぶった殉教者の役まわり

昇降口という高い障壁から今日も逃れる

 

帰ったら 甘いパンと紅茶を飲もう

ジョンとポールの歌を 聞こう

 

私は 誰もいない部屋で

西の窓から大声で歌う そして

私のひだスカートを 

誰より 円くまあるくひるがえす