スイッチ−私の中にある変換器




眠る時

脳の変換器がうまく作動すると

穏やかに夢の世界へ入っていく

懐かしい人が 私に言いたい事があるという

紫と黄色で織られた敷布が風にはためいていて

その音が うるさくて…

何て言ったの? あなたに届かない 私は夢の中で

見る事は出来ても 手を 動かせないでいる

笑ってないで も一度言って

 

夢の中で ナミダをこぼしている

その事が悔しくもなく 恥ずかしくもない

広く深い河のように とうとうと流れたいという

青い服を着たまま 水を泳ぎたいという

思いは 夢の中で叶えられる

感情を閉じ込め きりきりに縛っていた 紐が緩み

開放された 小魚たちが 自由に駆けめぐる

 

私は変換中

夜長の旅の途中 

私を覗き込まないで きっと

誰にも見られたくない 穏やかな顔をしている…

 

薄明かりが窓から射すと

夢の出口から

わしずかみにされ 外へ放り出された

家族休暇の最終日の朝 未練たっぷりで

海を振り返る子供のよう

…あっち側がホントの生活でも いいのに

 

時の河に いくつも浮かぶゆりかご

私が 昼間に散らかしたイメージを

ひとつずつ拾い集めてくれる 優しいお前

そして 終わらないパズルを埋め合わせ

お話してくれる 脳よ

また 夜がやってくる

どうか上手に スイッチを 入れて 私に語りかけて