朝露 (あさつゆ)

 

透明な水となり 流れていく夢を見た

身体がするりと 溶け出し始めた

嬉しかった

これで流れていける

 

蛇口のゆるんだ水道から

一滴の水がコップに落ちた 

それが私

ごめんなさい 不義理します

さようなら いってきます

 

軽やかな水は

重く数知れない石をも転がす

 

悲しまないで 

ここで風に吹かれる人よ

あなたの心だって とうに旅に出ている

心をつないでおく 術などないのだから

 

何が良くて何が悪いか 誰が決めるの?

シアワセの基準なんてない

探しているのは 心安らかな場所のはず

あなたも 私も。

そうでしょ? それを探しに行くの

 

旅の途中で

あなたの前を 過ぎ行く時には

かならず 一瞥を送るから

 

春になったら ホコリまみれの南風が吹く

窓から外を ながめて下さい

私は 朝露となり

その草むらの

ハルジョオンの柔らかな葉の上で

眠っているかもしれないから