糸
いつだって胸に 果てしなくゆがんだ宇宙を持っていても 善人の姿でもあり 花を愛する
フライパンの中味が 黒こげでも ラジオから流れるサイケな歌にのり 私の想いは窓から 外へ 飛んで 曇りの空に溶ける
綿帽子に包まれた 優しい私が ここまでの道すがらを 誰に説くでもなく 誰に伝えるでもなく 辿りはじめる 出会っては別れてきた 数々の想いが スライドショーのように 再現 そして消え ひとり遊びは続く
逃避行の帰り道を忘れぬように 細い糸しっかりと 手に握りながら
戻る世界を確保しつつ 浮遊するとは! 飛べない訳はここにある
美しい世界 風 みどりの樹 愛しいのはうそじゃない ではなぜ そんなに捨てたがる フリをするのか 宵の口に ひとり乗るブランコは こんなに淋しいよ 知りもしないで、と 黄昏の風が 肌にしとりと よそよそしい
いつも私は 現世界の糸を しっかり握って夢を見る
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