うれい

 

 

押えきれぬ きらめくみどり

5月に揺れる 蒼い気持ちを

ささえているのは

雨雲を含んだ 重たい空。

 

はからずも視線が揺れる

少しだけの油断。

恥ずかしく 払い落としたく

このグレイの空 融けてしまいたい。

 

5月の世界は あまりに素直

私はこの季節に押されて 居る場所が無い

優しい風は 頷くように花くびを揺らし

葉に落ちたしずくが 震えて。

 

内に秘めた 真実の輝きを 解き放つ

吹き荒れる嵐は

柔らかい新芽を傷つけ

1年越しの思い宿る 花びらさえ散らす 

 

しなびた私の心にまで みどりの風が

流れ込む 

心 揺さぶられ 苦しくなる

 

もりあがる新芽のフシギな力

風よ すばやくこの季節を吹き払え

真夏まで。

葉色の濃さを ぐんと増して

焼ける日差しを にらみつける。

 

後悔と疑心を知り

夕風と 高い空を振り仰ぐ 真夏の木々の姿よ。

これ以上 私に

無垢な笑顔で微笑まないで。

 

純粋さが まぶしすぎて重いのだ

我心が 季節に揺れる

5月は生命力に溢れている。