百葉箱

 

ないしょの話が聞きたければ この 百葉箱の中へおいで

今日一番の特ダネだ

ドキドキ 音がするのは 誰の心臓?

女王様は ぐるりとあたりを見回した。

 

教えてあげるよ そうしてミツバチたちは次々と

ないしょを抱えて午後の光へ飛び立っていく

 

おいで 誰にも言っちゃだめだよ

教室のすみっこの机で 知らぬフリ。でもちゃんと知ってるよ。

誰の事? 私にも教えて。

ないしょの味は密の味。パンに塗ったら さぞ美味しいだろう

おいで おいで 百葉箱のなかは大騒ぎ。

 

あの子が泣いてる

あの子の涙に みんなが集まる 

今日の餌食。 どうしたの? どうしたの?

蜜を抱えて飛んでくる みんなに囲まれ

悲しいはずが ちょっとウレシイ 涙の跡がなんだかかゆい

 

レモン色のカーテン揺らして

6時間目の熱い風が 教室に渦巻く

子供達の目が こころが 古い百葉箱の中 くるくるまわる