青い色

 

あの日 ベランダで洗濯物を干していたら

お腹の下で プチンとはじけた音がした

あの時 小さな命が消えたと思う

空の色が青かった

忘れるはずがない ずっと一緒だよ

 

過去の自分に抱かれて うとうと眠れば

昔暮らした 海の街を思い出す

ベランダから目を凝らすと

今でも 白い砂浜と青い海が見える

不安はいつでもあるけれど 

私を優しく守る 過ぎた記憶

いつも一緒にいてくれる 

 

夕方

ベランダで風に吹かれていると

ゆうやけ雲が集まって 空いっぱいに 港を作る

私の 小さな命も

きっと船に乗り

ゆっくりあの入り江へたどり着いたろう

淋しいとは思わない

私は  みんなと同じ船に乗っているから

淋しいとは思わない

 

家々に 夕げのあかりが灯るころ

逃げ場が無くなり 

問い詰められて 黙りこくり

夕顔のように 私も心を閉ざすけど

 

空の上から いつも私を見ている人がいるよね

私も いつも空を見ている

絶える事の無い 青い空

私は一人じゃない

 

私もいつか いきたいな

安堵の地 雲の入り江にみちびかれ 青い空の上に。