矢車草

 

曇り空。帰り道。矢車草が咲いていた。

細かい雲の粒子が無数に空から降って来て

私の周りを取り巻く

心地良い不安が胸によぎるのは

重い湿気が私を包み込むから。

小さく沸き立つ心を抑えるように

悲しい事を思い出し ひとり芝居する。

 

「低気圧の停滞により本日も曇り時々雨でしょう」

矢車草の葉の茂みから 桃色 青紫 うす水色が

笑いながらのぞいている。

明日も あさっても ずっとずっと 曇り空でありますように。