られつ

頭の中に いくつもの扉が出来ていて

できる限り開こうと思う

ところが一体いくつの扉があるのか

私の動作ものろくて

思ったようには扉は開かない。

しかもそれぞれに引き出しが沢山ついていて

開ければみな空っぽだ。

 

お気に入りの香水が霧になり香りが夢と広がる

孔雀が目を伏せて瑠璃色の羽根を広げる

引き出しを開けると 部屋に虹の橋がかかる

白いカーテン揺らし木の椅子にバラの花束飾ろう

いやいや そんな風に

私は言葉を探せない

 

単なる「あ」から「ん」のられつだ。ただ積み上げるだけ。

何も後になり苦しい夢を見ることはない

キーの上で動かない指をうらむことはない

ツモらなければそれは白紙を意味する。

またイチから積み上げるか。

脳みそ いちどかきまぜるか。

何もそんなに悲観することもない

毛布を頭からかぶり 誰かが訪ねてきても

「私は冬眠の準備に入っています」と ドアの黒板に書いておこう

 

無理やり腰を上げてでも 少し散歩に行くのが良いだろう。

北風が 空洞を探しては吹き込む

おかしな音が カランカランと頭に響く。