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東方紅魔郷
上海アリス幻樂団

◆ゲーム情報
レビュー投稿者 :AAM 原画 :ZUN
発売日 :2002.8.11 シナリオ :ZUN
定価 :\1,000 音声 :なし
ジャンル :弾幕シューティング
◆点 数
  10  20   30  40  50  60   70  80  90 100
システム : 75 ■■■■■■■■■□■■■■■
グラフィック : 60 ■■■■■■■■■□■■
キャラクター : 80 ■■■■■■■■■□■■■■■★
サウンド : 85 ■■■■■■■■■□■■■■■★★
シナリオ : 65 ■■■■■■■■■□■■■
総  評 : 73 ■■■■■■■■■□■■■■■
◆あらすじ
ある夏の暑い盛り。
人と妖の暮らす幻想郷は突如、一面の深い霧に包まれて太陽を失った。
少女たちは、この事件の元凶を求め飛び立つ。
湖上の島、人の寄り付くこともない館に、彼女はいた。

◆システム 75
紅魔郷・妖々夢・永夜抄と続く三部作の導入となる作品だけあり、
システム自体はごくごくオーソドックスなボムシューティングです。
高速・低速モードによるショットの切り替え機能が付いていますが、
それだけを以ってとりたてて個性的と言うには及びません。
ただし、ゲーム自体のテンポの良さは、
並みの同人ゲームの及ぶところではないと思います。
破綻なく高いレベルで遊べるゲームを成立させている点こそが、
このゲームの個性と言うこともできるでしょう。

◆グラフィック 60
特別に凝ったことは何も行われていません。
その印象に残らない度合いは無個性とすら思えるほどです。
ただし、それによって他の印象的な要素を効果的に引き立てているとも言えます。
あくまでサブとしての役割に徹するという意味で、
その使命をきちんと果たしているグラフィックです。

◆キャラクター 80
作者特有の軽妙でエキセントリックな台詞の掛け合い以上に、
このゲームのキャラクター性を高水準なものとしているのがスペルカードシステムです。
他のゲームなら「*面ボスの第*形態」と素っ気無く表現されるであろう攻撃モードに、
雹符「ヘイルストーム」、彩符「極彩颱風」、紅符「スカーレットシュート」
といった名称が付けられています。
これが各キャラクターの背景とその攻撃内容とを結びつけ、
ゲームの世界を奥深く魅力的なものとする触媒として作用しています。
さらに、この一体感としてプレイヤーに訴えかけるゲーム世界が、
キャラクターそれぞれをも一層魅力的なものとして演出しているとも言えます。
STGというシステム自体にとっての登場人物とも言うべき「弾幕」を大切にし、
それによってキャラクター本来の魅力を何倍にも増幅するという開発コンセプトは、
十分に高評価に値すると判断しました。

◆サウンド 85
このサークルは元来同人音楽を手掛けていた経緯があり、
そのノウハウが注ぎ込まれたBGMはどれも秀逸です。
また、和洋折衷した曲想のコンセプトが独特の作品空間を演出し、
他には真似のできない個性的な世界を形成しています。
ステージカラーと見事なまでに一体化している「上海紅茶館」、
サビ後半のピアノパートが絶叫するように畳み掛ける「亡き王女の為のセプテット」、
キャラクターのパーソナリティを見事に表現した「U.N.オーエンは彼女なのか?」。
もう冗談抜きで減点項目が見当たらないほどの素晴らしいサウンドなのですが、
敢えて言うならばピアノやドラムなどアコースティック系の音色が
MIDI音源丸出しでちょっと安っぽいかな、と。

◆シナリオ 65
あくまでも本編の邪魔をしない程度のシナリオです。
作者本人が「日常の一部を描いています」と言うだけあり(どういう日常だ)、
そこには意図的に展開の起伏を削り取った形跡すら見受けられます。
ですが、王道を行くSTGとしての姿を重視した本作にとっては、
それでも問題はなかった……いや、複雑な葛藤や愛憎は
むしろ邪魔な存在でさえあったと見るべきでしょう。
第一、お気楽が身上の幻想郷に、風雲急を告げる非日常は似合いませんから。

◆総 評 73
あまりにも王道。あまりにも単純。
そして、そうであるがゆえに面白い。
ゲームとしての本質を決しておろそかにすることなく、
それでいてプラスアルファとなる魅力を磨くことも決して忘れず。
まるで、よくできた恋愛ゲームのメインヒロインのような作品です。
そして、作品全体にわたって感じられる「世界」としての一体感は、
プログラムからグラフィック、サウンドに至るまでの全ての作業を
一人で行っているからこそ成し遂げられたものなのでしょう。
同人ベースでこれほどの作品に出会えたという事を、
そしてこれほどのクリエイターの作品を堪能する機会に恵まれた事を、
まずもって天なり運命なりに感謝すべきなのかもしれません。