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夏の燈火
CircleMebius

◆ゲーム情報
レビュー投稿者 :REI 原画 :鷲宮光流/杉野ミハル
発売日 :2004/06/06 シナリオ :るーすぼーい/江本あやえもん
定価 :¥2,500 音声 :無
ジャンル :恋愛ADV 陵辱有無 :無
◆点 数
  10  20   30  40  50  60   70  80  90 100
システム : 70 ■■■■■■■■■□■■■■
グラフィック : 80 ■■■■■■■■■□■■■■■★
キャラクター : 85 ■■■■■■■■■□■■■■■★★
サウンド : 75 ■■■■■■■■■□■■■■■
シナリオ : 85 ■■■■■■■■■□■■■■■★★
総  評 : 85 ■■■■■■■■■□■■■■■★★
◆あらすじ
人知れぬ 奥の山道 わけいれば
遠き夢にと風さそふ 神に物怪(もののけ) 人あれば
夏の燈火(ともしび) 誰ぞ灯さん――

この盆地は、千年以上昔に張られたという結界に  
囲まれていた。
その結界に守護されて、村の山々には多くの妖怪や
霊、神々が今だなお生きながらえていた。

幼い頃のある夏の日、俺はメモを片手に、
妹の手をとり、この村にたどり着いた。
集落を通り過ぎて神社の石階段を仰ぐと、
青々と揺れる水田へと抜ける。
そしてさらに人里離れた村はずれまで進んでゆく。

新しく世話になる家……そこで、その少女と出会った。

淡い燈火を浮かべる少女、
たった一人の血を分けた妹、
人里離れた神社に居座っている少女……

遠き夢が夏空に浮かぶ。
儚き想いが山々に滲む。
全ての尊き命が紡がれる、この結界の世界で……

俺達は、巡り会ったのだった――

◆システム 70
セーブ:999個。コメント編集、上書き禁止設定、など充実。
既読スキップ:有り。
バックログ:有り。
オートモード:有り。速度は31段階。
DISCレスでの起動:可能。
おまけ:音楽・CG鑑賞。スタッフあとがき。

□使用感
メッセージ速度を速く設定していると、読み損ねてしまうようなテキストの表示方法がありますが、履歴の使い勝手が良いので大丈夫かな・・・。
それより気になったのは、私の環境だとテキストを送ったときに、たまにBGMが詰まるような感じになったことですね。

◆グラフィック 80
CG枚数:14枚。
画面サイズ:800×600。

□CG&立ち絵
背景も含めて、質は申し分ないです。
個人的な意見で恐縮なのですが、商業ゲー含めてもかなり好きな部類に入ります(^^)
お婆さん以外の女性キャラは、全員余裕のストライクゾーンで、久々に絵だけで萌え狂いました(笑)

でもまぁ枚数が少ないので、それだけが残念ですね。
同人ゲーは数えるほどしかプレイしてないので、平均枚数とかよくわからないのですが・・・。
あと、立ちグラフィックも一部キャラに用意されてなかったのが本当に残念。
木鏡の桐生は見目麗しい少女だと書かれていました。
グラフィック、見たかったです・・・。

>同人ということなので、枚数には極端に厳しい私ですが、クオリティを考慮して甘めに付けてます。

◆キャラクター 85
□外見
女の子が全員"着物姿"なのがポイント。
和服好きな私には、不満などあるハズもなく・・・。
美麗なキャラグラフィックも相まって、冷静なコメントが不可能なほど(^^;

□内面
ヒロインについては、公式HPのキャラ紹介見てもらえれば大方分かると思います。
キャラの立て方が上手なので、ベタな萌え萌え設定も嫌味がありません。

主人公は非常に"まとも"。
時折、シナリオに流されて不可思議な思考をすることはあれど、概ね共感できました。
榊神社の当主、玲司の軽妙??下ネタ??トークもお約束の範囲内に収まっていたし、日常会話の部分はテンポ良かったと思います。

>表示は巫女さん属性有りの点数なので、「そうでもないや〜」と思う人は−10点くらいでおねがいします。

◆サウンド 75
BGM:31曲
歌:1曲

□BGM&歌
飛び抜けて、心惹かれるような1曲はなかったものの、全体を通して聞き心地は良かったです。
作品のイメージとBGMとを重ね合わせた時に違和感がないので、雰囲気作りにも大いに貢献していたんじゃないかなと思います。
歌の方も大体同じ印象です。

◆シナリオ 85
佳葉と湶の2人が攻略可能で、ルートも2つです。
主人公の状況や、彼を取り巻く環境に変化があって、二人目の攻略も一周目に劣らず楽しく遊べました。
順を追った丁寧な物語展開。
飛躍のない落ち着いたシナリオ。
読み手の導き方がとても上手で、気持ちよく読み進めていくことが可能です。

□内容
生きることとは何なのか。
人間の在り様。
このように、割と根源的な深〜い風なキーワードも登場するんですが、小難しい講釈を並べ立てるようなことは一切ないので、気楽に読めると思います。諭されるような感じかな・・・。
まぁこれ以上はプレイしないと何とも説明しようがないですね。
悪い気はしなかった。ということだけは強調しておきます。

□えちい
佳葉と湶一回ずつ。
これはサークルさんの宣言通り薄いです(笑)
でも描写は結構丁寧。
淫猥ではないけれど、演出、話の筋的には満点のHだと思います。

それに、Hの挿入されるタイミングも上手ですね。
後半の最高に盛り上がってきた場面での触れ合いは、そっと抱きしめるだけに留めたり・・・。
感動できるリズムや空気を壊さない配慮が、ちゃんとされています。

>手堅い作りのADVに魅力を感じないなら−10点。

◆お気に入りキャラ
全員好きなんだけどあえて1人挙げるなら"美津波"かな・・・。
でも"白児"も捨て難い・・・・・・(^^;
とりあえずこの二人が、お気に入りです。

◆総 評 85
最高に口当たり良く、後味も良い作品でした。
もちろん、小さな風呂敷を、丁寧に畳みあげた、という作品の規模の小ささ(ボリュームがやや少なめ)が関係しているのは、言うまでもありません。
ただ、いかなる名作にもついてまわる"中弛み"が、一切感じられなかったのは本当に良かったです。
あまり連呼するのもクドイんですけど、ワンシーン、ワンシーンが全力投球という感じで、仕事が丁寧でした。

□"最高の感動"
思いもよらぬシナリオ展開や設定の圧倒的な発想力に後押しされての感動はなかったです。
でも、凡庸なテーマも磨いて磨いて磨き倒せば光るものだなぁと実感させられました。
提示されたテーマを想うだけで、意味もなく心動かされてしまうのが、自分でも不思議で仕方なかったです。
結論としては、最高の感動かどうかは分からないけれど、一風変わった静かな感動は確かに得られた、と言うことですね。

何にしても、大満足。CircleMebiusさんに感謝です♪




夏の燈火
CircleMebius

◆ゲーム情報
レビュー投稿者 :うまー 原画 :鷲宮光流
発売日 :2004/06/06 シナリオ :るーすぼーい/江本あやえもん
定価 :¥2,500 音声 :無
ジャンル :ADV 陵辱有無 :無
◆点 数
  10  20   30  40  50  60   70  80  90 100
システム : 80 ■■■■■■■■■□■■■■■★
グラフィック : 82 ■■■■■■■■■□■■■■■★
キャラクター : 70 ■■■■■■■■■□■■■■
サウンド : 70 ■■■■■■■■■□■■■■
シナリオ : 81 ■■■■■■■■■□■■■■■★
総  評 : 81 ■■■■■■■■■□■■■■■★
◆あらすじ
"人知れぬ 奥の山道 わけいれば
遠き夢にと風さそふ 神に物怪(もののけ) 人あれば
夏の燈火(ともしび) 誰ぞ灯さん――
  
この盆地は、千年以上昔に張られたという結界に
囲まれていた。
その結界に守護されて、村の山々には多くの妖怪や
霊、神々が今だなお生きながらえていた。 

幼い頃のある夏の日、俺はメモを片手に、
妹の手をとり、この村にたどり着いた。
集落を通り過ぎて神社の石階段を仰ぐと、
青々と揺れる水田へと抜ける。
そしてさらに人里離れた村はずれまで進んでゆく。
  
新しく世話になる家……そこで、その少女と出会った。

淡い燈火を浮かべる少女、
たった一人の血を分けた妹、
人里離れた神社に居座っている少女……

遠き夢が夏空に浮かぶ。
儚き想いが山々に滲む。
全ての尊き命が紡がれる、この結界の世界で……

俺達は、巡り会ったのだった――"

◆システム 80
オートモード 有
スキップ 有
セーブ 99個
Hシーン回想 無
音楽回想 有
CG回想 有

主だったバグは見当たりませんが、時折テキストの表示が鈍くなることがあります。
美津波などの長ゼリフでは表示が鈍くなります。

◆グラフィック 82
他の同人ゲームなどと比べても塗りのレベルは高い方ですし、商業作品と比べても大差ないと思います。
ただ、イベントに関しては塗りはいいのですが、立ち絵と随分違う印象を受けるものがあります。
又、イベント画の枚数が14枚とかなり少な目です。

◆キャラクター 70
突拍子もないキャラクターや、キャラ立てが崩壊しているキャラクターなどはいません。
和風ものなのでヒロインは着物姿と巫女姿です。
あと、「Circle Mebiusなのに妹メイドがいない!?」という疑問については、妹巫女で我慢しろということでなんとか。

◆サウンド 70
サウンド担当はまつさん、JACさん、伊勢海老めぐみさんです。
これといった曲はありませんが、活かさずも殺さずといった感じでしょうか。
江本さんの作曲に期待している人には少し残念かもしれません。

◆シナリオ 81
シナリオについては、同人レベルでは高いレベルにあると思います。
題材自体はよくあるものなので、斬新さなどはありません。
よくある題材にも関わらず、それが当たり前の答えを導き出すにも関わらず、どうして評価できるのかと言いますと、それはシナリオに嫌味がないからです。
読んでいて気分が良いんです。
それは読後感も同じことが言えます。

◆お気に入りキャラ
白児でしょうか。
男か女か確認するシーンなんてドキドキものだと思います。

◆総 評 85
以前から期待していた作品だったのですが、期待通りの出来だと思いました。
ただ、湶シナリオにおける湶はヒロインとして影が薄すぎるような気がします。
結ばれる時も唐突ですし。
湶シナリオについてはシナリオを削ったそうなので、それが原因なのだとは思いますが。
あと、夏燈の時代設定は不明です。
現代だと思いますけど、昭和初期でもありそうな気がしました。特定できませんでしたけど。

さて、では以下は総評です。ネタバレもあるかもしれませんがご容赦ください。

シナリオのテーマみたいなものですけど、佳葉シナリオは「生の在り方」であり、湶シナリオは「他者の理解と友愛」だと思います(俺は理解力が乏しいので合っているかは判りませんが)。
湶シナリオについては、シナリオ中盤から俺の頭には文化相対主義が浮かんできました。
人間と妖怪が理解し合えないということ。
これが鍵になっていることなんですが、実際の世界で考えると、人間と妖怪の関係は異文化の人間同士の関係に置き換えることができます。
相手の文化を理解せず、一方的に相手を決め付けるというのはよくある話です。
特に西洋文化は異文化の理解を全くしようとしません。
異文化よりも自分達の文化の方が優れていると豪語するわけです(帝国主義)。
このような西洋の文化に対して生まれた考えが文化相対主義なわけです。
その内容を簡単に説明しますが、
まず文化の多様性を認めること、
どんな規模の文化であれ自律し独自の価値を有していること、
行動や事物の価値はそれの属する文化を以って理解・評価されること、
文化と文化の間に格差はないということ、
文化の価値判断に絶対的基準は存在しないこと、
そして異文化・他者に対して寛容であること、
これが主な内容です。
まさに湶シナリオの謂わんとするところはここに要約されていると謂っても過言ではないと思います。
他者を理解し、供に手を取り歩むこと。
これは確かに島国的調和・共栄の精神かもしれません。
しかし、これは現状において的を得た啓蒙でもあるわけです。
何故ならば、妖怪というものは実際には人間の作り出した概念でしかなく実存在ではありません。
人間と妖怪が理解し合えないということは、言い換えれば人間が人間の作り出したものを理解することができないということであり、人の在り方そのものが矛盾していることになるのです。
人が有機的循環から抜け落ちる、この世界のシステムから人の心だけが抜け落ちる。
そんな無機質的な世界に今俺たちは佇んでいるのです。
その中において俺たちは他者を理解し、自然を理解し、目に見えない全てのものを尊重し、供に助け合って生きていく。
これが、人の抜け落ちた世界のシステムに人を戻すことができる唯一の手段であることは確かなのです。

非常に読了感の良い作品で、読んでいて清々しい気持ちになりました。
嫌味がなく、なんというか優しくなれるシナリオ。
それほど変わったことをしているわけではないのに心打たれるシナリオ。
シナリオというものにこんなにも力があるのか、と感じるくらいに優しい作品です。