百合と薔薇

第59話:それぞれの道


作:千菊丸さん
メリーアンが逮捕されて1ヶ月。
ナージャとフランシスの元に、1通の手紙が届いた。
キースからだった。

拝啓,
ナージャ、フランシス、元気にしてますか?

俺は今、ドイツで児童養護施設や孤児院で慈善活動をしています。
怪盗黒バラとしての生活も捨てがたかったけど、 
もう、そんなことをするのは子どもじみた真似だとわかったんだ。
いままで俺は父と、貴族社会を憎んでいた。
でも、ただ憎むだけでは終わらないって、今わかってきた。
だから、今は1人でも多くの子ども達が幸せになるように、俺は頑張っています。

ナージャとフランシスへ,キースより

「キースも、変わったな。」
「色々とあったけど、キースは自分の道を見つけたのね。」
「メリーアンも、自分の道を見つけてくれればいいけど。」

キースの手紙が届いた次の日、ナージャはメリーアンと面会することにした。
囚人服を着たメリーアンには、スーパーモデルとして輝いていた彼女の姿は微塵も感じられなかった。
「何しに来たの?私を笑いにでも来たつもり?」
「メリーアン、あなたには随分ひどいことされたわ。でも、私が1番、あなたにひどいことをしたのよね。フランシスをあなたから奪った・・でも私はフランシスを愛しているの。決してあなたから奪おうと思って奪ったわけじゃない。それだけはわかってほしいの。」
メリーアンは黙っていた。
「私がもし貴女の立場だったら、あなたみたいに嫉妬に狂っていたかもしれない。私、1度死のうとした。でも、キースに助けられてわかった。いつまでも悲しんだり、人を怨み続けたりしたら明日は来ない。私はあなたを怨んだりしない。」
「そう。私バカだったわ。あなたからフランシスを取り戻したいばかりに、私はひどいことをしてしまったのよ。許してちょうだい・・」
そう言ってメリーアンは泣き崩れた。
「いいのよ。」
ナージャはそう言って面会室を後にした。
「ナージャ!」
メリーアンはたまらず叫んだ。
「私、自分の道を見つけるわ!いつになるかわからないけど・・私は自分の道を見つけてみせる!」
「その言葉が聞きたかったの。」

ナージャはそう言って微笑んで、メリーアンに背を向けた。









メリーアンとナージャの和解。
フランシスを取り戻したいばかりに、嫉妬に狂い、常軌に逸した行動を取ったメリーアン。
ナージャは彼女のせいでさんざんな目に遭いましたが、いつまでも人を怨んだり、悲しんだりしたら明日は来ないと知り、メリーアンとの和解を求めたのです。
メリーアンは、これからフランシスへの怨み辛みを断ち切り、自分の道を模索することでしょう。

次回は、最終回です。

Novel&Message by 千菊丸さん


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