百合と薔薇

第48話:暗示


作:千菊丸さん
2005年8月。
アルフレートがハーコート家専属のデザイナーとして働き始めて8ヶ月。
彼はパリコレで成功を収め、トップデザイナーとして活躍していた。
アルフレートのデザインは、エレガンスを基調とした独創性豊かなドレスを数々と発表し、上流階級を中心に彼のドレスは売れ、自分のブティックを持てるまでになった。
アルフレートのブティックは連日にぎわい、人気商品は売り切れ、在庫がなくなり、注文が追いつかないほどであった。
幼い頃からの夢を叶え、アルフレートは順風満帆な生活をしていた。
だが、彼の心にいつもひっかかるのは、あの悪夢。
自分の首を絞める男性は誰なのか。
あの夢を見るたび、男性の輪郭がくっきりとしてくる。

男性は、金髪蒼眼でハンサムだった。
一体、あの男性は誰なのだろうか?
「アルフレート、こんにちは。」
そんなことを考えていたある日、フランシスが双子の兄・キースとともにブティックにやってきた。
「フランシス様、キース様、こんにちは。どうしたんですか?」
キースは無言で招待状をアルフレートに渡した。
「今度ハプスブルク財閥で社長のルドルフ様の23歳の誕生日を迎えられるんだ。21日の誕生日パーティーに、君もどうかなと思って。」
「でも、私はそのような場には・・」
「トップデザイナーとしてのアルフレート=フェリックスを見せつけてやれよ。」
キースはアルフレートの意志薄弱な態度にイライラしていた。
「大丈夫、僕たちがついているから。」
「では、出席させていただきます。」
そう言ってアルフレートは、パーティーの招待状を受け取った。

あの悪夢が、ルドルフとの再会を暗示していることを、アルフレートはまだ知らなかった。










Novel&Message by 千菊丸さん


第47話へ戻る / 貰いモノは嬉し!へ戻る