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バーベンブルクは、夫に愛されず寂しい思いをしているシュティファニーを食事に誘った。 シュティファニーは即、返事をした。 「嬉しいわ、食事なんて・・私、結婚してから一度も夫とディナーをしたことがないの。」 ウィーンの高級イタリアンレストランで、シュティファニーは頬を紅潮させて言った。 「あなたのご主人は冷たすぎますね。あなたのことに全く関心を持っていない。こんなにあなたは美しいのに・・」 バーベンブルクはそう言って、シュティファニーに微笑んだ。 「夫とは政略結婚よ。夫は私よりも娘の方が可愛いの。」 シュティファニーはそう言って、前菜のサラダを口に運んだ。 「奥様、私で良ければいつでもあなたの相談相手になりますよ。」 「そう、嬉しいわ。」 (この女、簡単に落とせる) バーベンブルクは、シュティファニーの浅はかさに苦笑しながら、ワイングラスを傾けた。 メリーアンは、デザイナーが作ったドレスに袖を通した。 ドレスは彼女のラインにピッタリ合い、デザインも彼女好みだ。 フランシスがロンドンの路上で拾ったデザイナー。 胡散臭そうだったが、デザイナーの腕は一流だ。 (フランシスは、人を見る目があるわね。) メリーアンは、ナージャのことを思い出した。 死んだ女のことを思い出すなんて、私はどうかしているのかしら? いまだに彼女がまだ生きていて、フランシスと自分の前に現れるのではないか、という恐怖を抱きながらメリーアンは暮らしていた。 もしナージャが生きていたら・・ その時は、消してやる。 ドーヴァー海峡沿岸の漁村。 キースはベッドの中でナージャを抱きながら、この幸せが永遠に続けばいいと思った。 いままで父と貴族社会への恨み辛みで生きてきたキースにとって、ナージャは一筋の光だった。 ナージャを失いたくない。 フランシスは、ナージャが死んだと思っている。 このまま、彼女は死んだことにしておこう。 ナージャは、永遠に自分のものだ。 美しいプラチナブロンドの髪も。 澄んだ蒼い瞳も。 太陽のような笑顔も。 全て、自分のものだ。 ルドルフは、ホテル・リッツ・イン・パリのスイートで、ローズマリーのメールを見ながら、舌打ちをしていた。 アルフレートはブティックを飛び出し、行方不明だという。 もう少しで、息の根を止めれるところだったのに。 ローズマリーにもう用はない。 あとは自分でアルフレートを殺すのだ。 複雑に絡み合う陰謀。 それがやがて、悲劇へと繋がる。 Novel&Message by 千菊丸さん |