百合と薔薇

第43話:絡み合う陰謀


作:千菊丸さん
バーベンブルクは、夫に愛されず寂しい思いをしているシュティファニーを食事に誘った。
シュティファニーは即、返事をした。
「嬉しいわ、食事なんて・・私、結婚してから一度も夫とディナーをしたことがないの。」
ウィーンの高級イタリアンレストランで、シュティファニーは頬を紅潮させて言った。
「あなたのご主人は冷たすぎますね。あなたのことに全く関心を持っていない。こんなにあなたは美しいのに・・」
バーベンブルクはそう言って、シュティファニーに微笑んだ。
「夫とは政略結婚よ。夫は私よりも娘の方が可愛いの。」
シュティファニーはそう言って、前菜のサラダを口に運んだ。
「奥様、私で良ければいつでもあなたの相談相手になりますよ。」
「そう、嬉しいわ。」
(この女、簡単に落とせる)
バーベンブルクは、シュティファニーの浅はかさに苦笑しながら、ワイングラスを傾けた。

メリーアンは、デザイナーが作ったドレスに袖を通した。
ドレスは彼女のラインにピッタリ合い、デザインも彼女好みだ。
フランシスがロンドンの路上で拾ったデザイナー。
胡散臭そうだったが、デザイナーの腕は一流だ。
(フランシスは、人を見る目があるわね。)

メリーアンは、ナージャのことを思い出した。
死んだ女のことを思い出すなんて、私はどうかしているのかしら?
いまだに彼女がまだ生きていて、フランシスと自分の前に現れるのではないか、という恐怖を抱きながらメリーアンは暮らしていた。
もしナージャが生きていたら・・
その時は、消してやる。

ドーヴァー海峡沿岸の漁村。
キースはベッドの中でナージャを抱きながら、この幸せが永遠に続けばいいと思った。
いままで父と貴族社会への恨み辛みで生きてきたキースにとって、ナージャは一筋の光だった。
ナージャを失いたくない。
フランシスは、ナージャが死んだと思っている。
このまま、彼女は死んだことにしておこう。
ナージャは、永遠に自分のものだ。
美しいプラチナブロンドの髪も。
澄んだ蒼い瞳も。
太陽のような笑顔も。

全て、自分のものだ。

ルドルフは、ホテル・リッツ・イン・パリのスイートで、ローズマリーのメールを見ながら、舌打ちをしていた。
アルフレートはブティックを飛び出し、行方不明だという。
もう少しで、息の根を止めれるところだったのに。
ローズマリーにもう用はない。
あとは自分でアルフレートを殺すのだ。

複雑に絡み合う陰謀。
それがやがて、悲劇へと繋がる。










Novel&Message by 千菊丸さん


第42話へ戻る / 貰いモノは嬉し!へ戻る