百合と薔薇

第35話:キースとナージャ


作:千菊丸さん
2004年12月。
イギリス・ドーヴァー海峡に面した小さな漁村。
11歳のアーサーは今日も新聞配達をしていた。
配達が終わったら、トム達とサッカーをしよう。
早く配達を終わらせるために、アーサーは最後の家に向かった。
そこは村の中でも一際目立つ、豪華な造りをした家だった。
「新聞でーす。」
アーサーは門に行き、声を出した。
「ありがとう。」
門からキースが出てきて、アーサーに金を払い、新聞を受け取った。
アーサーの後ろ姿を見送ったキースは、家の中に入った。
暖炉がある居間に入ると、1人の少女が窓辺を見ていた。
「ナージャ」
キースが少女を呼ぶと、少女は微笑んだ。
少女−ナージャは、10ヶ月前恋人・フランシスと引き裂かれ、絶望のあまり海に身を投げたはずだった。
だが。
浜辺を散歩していたキースが、波間を漂うナージャを見つけた。

キースはこの漁村で人知れずナージャと暮らし始めた。
「キース、フランシスはどうしてる?」
ナージャはキースを抱きしめながら、恋人のことを聞いた。
「フランシスはメリーアンと結婚したよ。メリーアンは妊娠してる。」
「そう・・」
そう言うとナージャはキッチンへと向かった。
キースはナージャの後をついていった。
ナージャはシンクで涙をこぼしていた。
「ナージャ、悪かった。これからは、俺が傍にいるから。」
そう言ってキースはナージャを抱きしめた。

ナージャは、キースの愛により、心の傷が次第に塞がっていくのが感じた。










Novel&Message by 千菊丸さん


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