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2004年12月。 イギリス・ドーヴァー海峡に面した小さな漁村。 11歳のアーサーは今日も新聞配達をしていた。 配達が終わったら、トム達とサッカーをしよう。 早く配達を終わらせるために、アーサーは最後の家に向かった。 そこは村の中でも一際目立つ、豪華な造りをした家だった。 「新聞でーす。」 アーサーは門に行き、声を出した。 「ありがとう。」 門からキースが出てきて、アーサーに金を払い、新聞を受け取った。 アーサーの後ろ姿を見送ったキースは、家の中に入った。 暖炉がある居間に入ると、1人の少女が窓辺を見ていた。 「ナージャ」 キースが少女を呼ぶと、少女は微笑んだ。 少女−ナージャは、10ヶ月前恋人・フランシスと引き裂かれ、絶望のあまり海に身を投げたはずだった。 だが。 浜辺を散歩していたキースが、波間を漂うナージャを見つけた。 キースはこの漁村で人知れずナージャと暮らし始めた。 「キース、フランシスはどうしてる?」 ナージャはキースを抱きしめながら、恋人のことを聞いた。 「フランシスはメリーアンと結婚したよ。メリーアンは妊娠してる。」 「そう・・」 そう言うとナージャはキッチンへと向かった。 キースはナージャの後をついていった。 ナージャはシンクで涙をこぼしていた。 「ナージャ、悪かった。これからは、俺が傍にいるから。」 そう言ってキースはナージャを抱きしめた。 ナージャは、キースの愛により、心の傷が次第に塞がっていくのが感じた。 Novel&Message by 千菊丸さん |