百合と薔薇

第33話:絶望


作:千菊丸さん
フランシスとメリーアンは婚約した。
全てはメリーアンの目論見通りに運んだ。
傷心のナージャはロンドンを離れ、ドーヴァー海峡沿いの崖に来ていた。
キースの策略、妊娠、流産、そしてフランシスとの破局・・ナージャには、もう生きる気力がなくなっていった。
「フランシス・・」
絶えず吹き荒ぶ風は、ナージャに絶望を煽る。
「愛しているわ・・私、あなたに愛されて幸せだった。」
そう言うとナージャは崖の先に立った。
「さようなら、フランシス・・」
崖を洗う荒波の中に、ナージャは身を躍らせた。

ロンドン、午前0時。
「ナージャ?!」
フランシスは飛び起きた。
ナージャが海に飛び込む夢を見た。
「どうしたの、フランシス?」
メリーアンが心配そうな顔でフランシスを見つめていた。
「ううん、なんでもない・・」
ナージャ、ナージャ・・。

午前7時。
朝食を楽しんでいるハーコート家の元に、執事が飛んできた。
「だ、旦那様!」
「何事だ、騒がしい。」
「さきほどプレミンジャー公爵家から連絡がありまして・・ナージャ様が、行方不明と・・」
フランシスは立ち上がり、邸を飛び出した。
「フランシス、待ちなさい!」
ハーコート公爵は、馬に乗ろうとするフランシスを止めた。
「離してください、僕はナージャを探しにいくんです!」
「彼女はもううちとは関係ない!」
「嫌だ・・」
フランシスの頬に涙が光った。
「嫌だ、嫌だ、ナージャ、ナージャ、ナージャ!!」
そう言うとフランシスは昏倒した。
「誰か、誰か医者を!!」





−第2部 完−




波乱の第2部が終了しました。
ラブラブ絶頂のカップルが、奈落のどん底に突き落とされる。
ナージャとフランシスはこの先どうなるのでしょうか?

Novel&Message by 千菊丸さん


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