百合と薔薇

第30話:暗雲


作:千菊丸さん
ナージャはキースだとは知らず、フランシスと密会を重ねていった。

5ヶ月後。
ナージャは生理が来ないことに気づいた。
それと貧血がよく起こることも。
(きっと疲れているのかしら?)
ナージャは学校の帰り道、気を失い病院に運ばれた。
「お母様ですね。」
娘を心配するコレットの前に、産婦人科の医師が来た。
「はい。そうですが・・」
「娘さんは妊娠しています、現在5ヶ月です。」
コレットは目の前が真っ暗になった。
「ナージャ、妊娠しているってほんとうなの?」
(妊娠・・私が・・?)
ナージャはこのとき、フランシスの子を妊娠していると初めて知ったのだった。
「フランシスさんとの子なのね。」
コレットはそう言って微笑んだ。
「お産みなさい、ナージャ。愛する人の子を産みたい気持ちは、私が一番よくわかっているから。」

妊娠が判って数日後、ナージャはフランシスにこのことを伝えようと、週末にロンドンへと向かった。
ハーコート邸でフランシスの姿を探していると、2階の廊下から聞き覚えのある声がした。
「これで私はフランシスと結婚できるわ。」
メリーアンが上機嫌にスキップを踏みながら廊下を歩いていた。
その時、ナージャとメリーアンは目があった。
メリーアンは鬼のような形相でナージャに詰め寄っていった。
「またあなたなの?フランシスの前から消えてよ!!」
「私、フランシスに大事なことを・・」
「どういうこと?」
「フランシスとの間に、赤ちゃんが・・」
メリーアンはナージャの妊娠を知ってショックを受け、やがてそれが激しい憎しみへと変わった。
「あなたにフランシスは渡さなくてよ・・」
そう言うとメリーアンはナージャを階段へと追いやった。
「フランシスはわたくしの物なの。あなたなんかに渡すものですか!永遠に消えてよ!」
そう言うとメリーアンはナージャを突き飛ばした。
ナージャは全身を強く打ちながら階段を転がり落ちた。
「どうしたんだ、一体・・ナージャ!!」
騒ぎを聞きつけたフランシスが階段の下で倒れているナージャに駆け寄った。
「ナージャ、しっかりして、ナージャ!!」
「赤ちゃんが・・赤ちゃんが・・」
見ると、ナージャの周りに血だまりが出来ている。
「誰か、救急車を!!」









キースの子を妊娠してしまったナージャ。
フランシスの子を妊娠したと知ってナージャを階段から突き落としたメリーアン。
10代で妊娠・・ナージャはこれからどうなるんでしょう?

Novel&Message by 千菊丸さん


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