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オーストリア・ウィーンにある男色家専門の売春宿『柊』で、ハプスブルク財閥の社員が変死した。 解剖の結果、麻薬の過剰摂取による心臓発作が死因とわかり、腕には注射痕が見つかった。 ことの真相を確かめるため、社長であるルドルフはある作戦を実行した。 ウィーンの歓楽街は、夜になると女を買う輩、または男色家が集う。 『柊』は、その一角で一際目立つ、高級男色専門売春宿である。 ルドルフは田舎から来た孤児に見えるよう、ボロをまとい、ボロボロのバッグを抱え、『柊』の裏口のドアを叩いた。 あくまでしおらしく、哀れな声を出す。 「ごめんください。誰かいませんか?」 ドアを何度か叩くと、奥からぶっきらぼうな声が返ってきた。 「誰だい?」 声と共に、40代後半とおぼしき着物を着た女性がやってきた。 この宿の女将だろう。 「うちに何か用かい?」 「あ、あの僕、ここで働きたいんですけど・・」 おどおどとした口調で言った。 ルドルフの言葉に女将はじろりと彼の方を見たが、あごをしゃくって中へ入れと手招きした。 女将と共に入った部屋には、女衒がいた。 「女将さん、こいつどこで拾ってきたんで?」 「裏にいたのさ。」 女将は女衒にぴしゃりと言うと、部屋のドアを閉めた。 2人きりになり、ルドルフは唾を呑むのをなんとかこらえた。 「ここがどういう宿かわかってんのかい?金のない女や坊主が、春を売るところだよ。」 女将はそう言うと、タバコを吸いながらルドルフの方に近寄ってきた。 「顔をよく見せな。」 そう言うと女将はルドルフの顎を上げた。 「いい顔をしているじゃないか。売れっ子になるよ。」 女将は電話をかけた。 「新人が来たよ。身体を洗っておあげ。」 ルドルフは部屋を出ると、下働きの女達が彼を引っ張り、浴室へと連れて行った。 身体を洗い、化粧を施され、新品の着物を着付けされたルドルフは、見違えるように美しくなった。 女将は、着飾ったルドルフを見ると、満足そうに見た。 「上玉だね、これから売れっ子になるよ。」 ルドルフは『リア』という源氏名をもらい、『柊』での変死事件の潜入調査を行った。 ルドルフが『柊』で働きだして4日ほど。 陰間仲間の部屋に忍び込んだルドルフは、以前から気になっていた引き出しを開けてみた。 そこには、注射針があった。 (間違いない。あいつは、この宿で陰間に・・) ルドルフが疑惑を確信へと変えているとき、部屋の外で足音がした。 これまでのとうってかわって、サスペンスを書いてみました。 ハプスブルク財閥の社員が売春宿で変死。 彼の死に疑いを持った社長のルドルフは、売春宿で陰間になりすまして調査することに。 売春宿は、建物は西洋のものだけど、陰間や女将さん、下働きの人はみんな着物を着ている、日本系の宿です。 遊郭のシステムとかは全然わからないので適当に書いてます。 みなさま、そこのところは目をつぶっていただいて・・。 Novel&Message by 千菊丸さん |