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いつまでたってもカナダに来ないアルフレートを、ルドルフは心配していた。 何度携帯にかけても繋がらない。 一体、どうしたのだろう・・。 (無事だといいんだか・・) ルドルフは窓の吹雪を見た。 その頃、カナダから遠く離れたウィーンの病院で、一命を取り留めたアルフレートは病室のベッドで身動きがとれずにいた。 あの事故の後、アルフレートは全身を強く打ち、意識不明の重体となったが、奇跡的に意識を取り戻した。 (早く、早くルドルフ様の元に行かなければ・・) 心は早くカナダに行こうと思っているのに、身体が言うことをきかない。 アルフレートが焦っていると、病室のドアが開き、花束を抱えたシュティファニーが入ってきた。 「事故にあったのですって?大事がなくてよかったわ。」 花瓶に花を生け、微笑むシュティファニー。 「今回は無事でよかったわね・・でも次は、手加減しなくてよ。」 そう言うとシュティファニーは突然、アルフレートの負傷した右足に爪を立てた。 「あの人のお側にいられるのは私だけなの。お前は私にとって目障りなのよ!!怪我が治ったら二度とあの人の前に来ないで!!」 シュティファニーはそう言って、意気揚々に病室を去っていった。 (やっぱりあの事故は、あの人が仕組んだんだ・・私とルドルフ様を引き裂こうとして・・) シュティファニーは夫の後を追い、カナダへとやって来た。 別荘のドアを開け、アルフレートが来たと期待に胸を膨らませていたルドルフは、シュティファニーの顔を見て落胆を隠せなかった。 「あなた、アルフレートはもうここへは来ませんわ。」 「どういうことだ?」 「アルフレートは、自分の夢を叶えるために、旅立ちましたわ。今朝、わたくしにお別れをしてね。」 ルドルフの目に、怒りがこもった。 シュティファニーはためらわずに続けた。 「アルフレートは、あなたと離れて、ファッションデザイナーへの道を歩むために、あなたとの関係はなかったことにして欲しいとわたくしに言ったのよ。このままただのしがない使用人で人生を終わらせたくない、自分の夢に向かって突き進みたいとね。」 シュティファニーは夫をちらりと見た。ルドルフはアルフレートの言葉に衝撃を受けた様子だったが、しばらくして笑い始めた。 「つまり・・私は・・アルフレートに捨てられたということか・・」 笑い声が大きくなる。 突然ルドルフは拳銃を取り出し、壁に飾ってある写真に照準を合わせる。 別荘に、7発の銃声が響く。 「私を捨てて、タダで済むと思うな・・」 粉々になった、幼き頃のルドルフとアルフレートのツーショット。 「絶対にお前の息の根を止めてみせる、アルフレート・・」 シュティファニーの嘘により、ルドルフの中で、アルフレートに対する深い愛が、激しい憎しみへと変わった。 波乱の第2部スタートです。 シュティファニーの嘘により、アルフレートに捨てられたと勘違いしたルドルフ様は、アルフレートに対して憎しみ全開に。 ルドルフ様とアルフレートが再会するのは、物語の後半です。 シュティファニー、恐ろしい女ですね。 こういう女には悲惨な末路が待ってます。 次回、ナージャがとうとう母・コレットと再会します。 Novel&Message by 千菊丸さん |