百合と薔薇

第16話:華麗なバラ達


作:千菊丸さん
1996年、イギリス・ロンドン近郊。
王家とも縁のある由緒正しき寄宿学校。

その中に、華麗なバラ達がいた。

1人は、「白バラ」−フランシス・ハーコート。 優雅なる物腰、柔らかい笑み・・彼はイギリス中の娘を夢中にさせるほどの魅力がある。

そしてもう1人は、フランシスの双子の兄・キース。
光り輝くフランシスとは対照的に、キースは闇の中に沈む黒バラのようで、どこか陰があり、クールな雰囲気を漂わせていた。

幾何学の授業の後、キースはだるそうに制服のネクタイを緩め、タバコを吸った。
「キース、お父様から手紙が来てるよ。」
イタリア語のマルティーニ先生が、キースに手紙を渡した。
「ありがとうございます。」
キースはマルティーニ先生が去ると、手紙の封を切らずにタバコの灰皿代わりにした。

キースは、父親を憎んでいた。

キースとフランシスの母は、2人が3歳の時に身体と精神を病み、28歳という若さで世を去った。
母が壊れた原因は、父の過度の放蕩であった。

キースは敬愛していた母親を死に追いやった父を憎んだ。
父は、フランシスに家督を継がせる準備を進めている。
キースは、亡き者として扱われていた。

キースは、父と弟を激しく憎んでいた。
そして、母を苦しめた、『貴族』という存在を。

(貴族なんてなくしてやる・・)
キースは、貴族社会の殲滅を、密かに企んでいた。

「キース。」 テニスウェア姿のフランシスが、にこやかにキースに駆けてくる。
キースは母親の死の真相も知らず、微笑む弟に心の中で嘲笑した。

   バカなヤツ。

「フランシス、またテニスをしてるのか?」
「うん、色々忙しくて・・」
「そうか、人気者は辛いな・・」
キースはそう呟くと、回れ右をした。
その瞬間、キースは顔を醜く顔を歪ませた。
「お前なんか、すぐに消してやる・・」
兄に激しく憎まれているとも知らず、フランシスは陽光の中、去っていった。









フランシスの双子の兄・キースこと怪盗黒バラ。
母を苦しめた父を憎み、弟を憎む。
そして、貴族社会を。

この回は、怪盗黒バラの序章です。
キースがどのように怪盗黒バラへの道を辿っていくのか、楽しみにしていてくださいね。

最近、サークルの方で忙しく、小説を書く暇がありませんでした。
12月17日にイベントを初めて受け持つこととなって、準備に追われている真っ最中です。
ご迷惑かけて申し訳ございませんでした。

Novel&Message by 千菊丸さん


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