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シュティファニーは、パリの別邸に来た日から、ことあるごとにアルフレートに用事を言いつけ、また言いがかりをつけてはアルフレートを罵った。 ある日のこと。 シュティファニーは、紅茶を淹れるようアルフレートに命じた。 アルフレートは言いつけ通りにシュティファニーに紅茶を淹れた。 シュティファニーは紅茶を一口飲むと、顔をしかめた。 「熱い!」 カップの中身をアルフレートにぶちまける。 「こんな熱いのをよく出せたものね!」 今度はティーポットをアルフレートに向け、紅茶をぶちまけるシュティファニー。 「申し訳ございません。私が淹れて参ります。」 シュティファニーのいじめを見かねた父・ユリウスが、アルフレートの代わりにシュティファニーに紅茶を淹れた。 「おいしいわ。」 シュティファニーはそう言って何事もなかったかのようにケーキをぺろりと平らげた。 「大丈夫か?」 「大丈夫だよ、父さん。」 「全く、シュティファニー様はお前の何が気に入らないのだろうね・・」 息子の火傷の手当をしながら、ため息をつくユリウス。 「あんな人がルドルフ様の奥様になられると思うと憂鬱だよ・・ルドルフ様もお気の毒に。」 我が儘で、自己中心的なシュティファニーは、邸の人間から嫌われていた。 実際、邸ではシュティファニーに対する怒りを、使用人達がぶちまけていた。 「あの女、料理が気に入らないからって、4回も作り直すように言われたんだ。手間暇かけて作って出したのに、いらないからもういいわ、と言いやがった。あんな嫌な女、はじめて見たぜ!!」 ある日、昼食の時間に、コックのアウグストがそう言ってシュティファニーに対する怒りをぶちまけると、邸の使用人達も彼女に対する怒りをぶちまけはじめた。 「今朝シュティファニー様のお部屋でベッドメイキングしたら、しわくちゃのシーツで寝られないわと言ったのよ。その上ベッドでお菓子を食べ散らかしたくせに、私のシーツをわざと汚したって言いがかりをつけるのよ。あの女のベッドメイキングはこりごりよ。」 メイドのローザが言った。 「俺が1年中必死に育てたバラを、シュティファニー様は貧相で安物だとぬかしやがった。イギリスで本格的にガーデニングを習っている私なら立派なバラを育てられるとさ。 趣味程度で立派なバラが育てられるかってんだ。あの女の言ってることは全てうそっぱちさ。その後書斎でガーデニングについての本を読みあさってたんだから。」 庭師のトムが言った。 「私は20年間ハプスブルク家で執事をしてまいりましたが、あんな自己中心的で傲慢なお客様は初めてです。一体シュティファニー様のご両親はどのような教育をなされたのでしょうね。」 ユリウスの同僚で執事のロシェクが言った。 「アルフレート、あんたあの女に紅茶をぶっかけられたんだって?ひどいことするね、あの女は。」 料理番のテレーザは火傷したアルフレートを見て言った。 「あの女がこのままこの邸にのさばると思うと腸が煮えくりかえるよ。」 シュティファニーのアルフレートに対するいじめは、日に日にひどくなるばかりだった。 夕食のステーキが硬いと文句をつけ鉄板を投げつけたり、刺繍糸が短すぎると針箱をぶつけてきたりと、めちゃくちゃだった。なので、アルフレートはいつも生傷が絶えなかった。 ルドルフはシュティファニーのいじめを知り、彼女を呼びだした。 「ルドルフ様、何かしら、お話って?」 「お前、アルフレートをいじめているようだな。」 ルドルフはそう言ってシュティファニーをにらんだ。 「だって、あの使用人生意気なんですもの・・いつも私に口答えばっかりして。」 「邸の者からは、お前が一方的にアルフレートをいじめてると聞いたぞ。この際言うが、お前は邸中の人間に嫌われている。ここはお前の家ではない。ここが気に入らなかったら、さっさとブリュッセルにでも戻ればいいだろう。」 「何よ、わかりましたわ!戻ればいいのでしょう、戻れば!!」 シュティファニーは激憤してブリュッセルへと戻った。 シュティファニー、アルフレートを何かとつけていびる。 ひねくれた根性悪の彼女を、邸の人間は嫌う。 上から下を見下ろすような言い方、見方、考え方の人間は好かれるわけがありません。 世の中には嫌な人間がいますが、シュティファニーの根性悪は最悪です。 ルドルフ様に注意されて逆ギレし、ブリュッセルに戻った彼女ですが、そこでナージャ達と出会います。 彼女のことだからまた言いがかりをつけるのでしょうが・・。 私は「天上の愛 地上の恋」でシュティファニーが嫌いな女性キャラです。 高校の時にハプスブルク関連の本を読みあさり、最初はシュティファニーに同情していたのですが、本編を読んでいるとなんだかシュティファニーが自己中心的で根性悪だとしか考えられなくなったのです。 ルドルフ様とは政略結婚。 あんな女と無理矢理結婚させられたルドルフ様が可哀想でならなかったです。 Novel&Message by 千菊丸さん |