百合と薔薇

第10話:それぞれの夜


作:千菊丸さん
ナージャはなんとか気分を落ち着かせ、からくり自動車へと向かった。
だが、依然頭の中では憎しみに顔を歪ませたローズマリーとメリーアンが忘れられずにいた。
「どうしたんだいナージャ、顔が真っ青だよ。」
食事の最中も沈んだ顔をしているナージャに、占い師のオババが声をかけた。
「オババ、私ね、ローズマリーに会ったの・・前に話したでしょ、同じ孤児院で育った・・」
「ああ、その子がどうしたんだい・・」
「さっき、会ったの・・」
ナージャはそれから話そうとしたが、ローズマリーの顔が浮かんだ。オババはそれ以上、何も言わなかった。
「辛いなら話さなくてもいいのよ。ナージャ、シチューを食べて元気になって?」
歌姫のシルヴィがそう言ってナージャの前にシチューを置いた。
「ありがとう、シルヴィ。」
ナージャはそう言って、シチューを食べ始めた。

アルフレートは、テーブルで呆然としていた。
“あんたなんかにルドルフ様は似合わないわ!!”
憎しみと嫉妬に歪んだマリーの顔。
しばらく震えが止まらなかった。
なんとか喫茶店を出て、アルフレートはホーフブルク邸に戻った。
ユリウスが、階段の手すりを磨いていた。
「ただいま。」
「どうした、アルフレート。シャツが濡れてるぞ。」
「ちょっと転んで水たまりにはまっちゃって・・」
「そそっかしいな。風邪をひかないようにな。」
「うん。」
父にはマリーに水をかけられたことは言えなかった。父を心配させたくなかったから。

アルフレートは自分の部屋に行き、濡れたシャツを脱ぎ、ガウンを羽織りバスルームへと向かった。
シャワーを浴び、アルフレートはマリーの顔を思い出した。

 私は、ルドルフ様から離れた方がよいのではないのだろうか・・

これ以上ルドルフといたら、マリーがまた何か言ってくる・・。
どうすればいいのだろう?

アルフレートは両手で頭を抱えた。









ナージャとアルフレート、それぞれの夜。
ナージャは幼なじみのローズマリーの変貌を信じられず、アルフレートはルドルフの元を離れた方が良いのではないかと悩む。

恋人達の恋路を邪魔をする女性キャラ。
昼ドラの悪役は初めて見て強烈だと思ったのですが、韓国ドラマを見てから、韓国ドラマに出てくる悪役の方が昼ドラよりえげつないな・・と思いました。
メリーアン、ローズマリー、マリーはこれからもナージャ、フランシス、アルフレート、ルドルフ様の仲を引っかき回しますよ。

Novel&Message by 千菊丸さん


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