願いを込めて。

作:しのたかさん



 ガウリイの様子がおかしかった。
 何でだろう。
 いつものようにとことこ、あたしの速度に合わせて歩いてるんだけど。

 何処か、上の空みたいで。


 ねぇ。
 何を思ってるの?
 何を考えてるの?

 戦ってるとき以外で、あんたが考えてるなんて珍しくて。
 あしたは槍が降ってくるかも……なぁんて考えちゃうけど。







 だけど、笑わないから。
 答えは導き出してあげられないかも知れないけど、全部聞くから。

 あたしに話してみてよ。

 どんな時もあたしを支えてくれたあんただから。
 色々なものを与えてくれたあんただから。

 あたしにも何かさせてよ。

 そりゃ、あんたがしてくれたことに比べると、足りないけど。

 それでも……少しでもあんたの力になりたいのよ。

 苦しい状況でも立ち上がって歩く勇気を。前を向いて進む力を。支えてくれる温かさを。
 あたしに教えてくれたから。
 今度はあたしがあんたに何かあげたいのよ。

 だから、そんな何処か寂しそうな笑顔なんかしないで。
 何時もみたいに、あったかく笑ってよ。

「……行くわよ、ガウリイ!」

 気合を入れるように叩いた手に。
 彼が見る目に。
 浮かべた笑みに。

 あたしは……日頃の想いの全てを込めた。

『あんたが傍に居てくれるだけで、あたしはあたしを取り戻せる。ありがとう、ガウリイ』




















 ガウリイから返ってきたのは――

 蕩けそうなほどの優しい微笑みだった。






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