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最終話:桜の花びら それから、火月は有輝に全てをうち明けたあと、出家し、宇治の尼寺に入った。 有匡は陰陽師を引退しようと思っていた。 いままで必死に築いてきた地位。 だがもうそれにはもう固執しない。 それより大切なものを見つけたから。 「父上。」 有輝の声で、有匡は微笑みながら振り向いた。 「有輝、どうだ、国事は?」 「順調です。父上、体の具合はいかがですか?」 有匡は去年の秋から、胸を病んでいる。 「大丈夫だ、滋養のある物を食べてるからな。」 「そうですか。」 それが親子の交わした最後の会話だった。 その夜、有匡は急に喀血し、倒れた。 「父上、父上!」 3日間意識不明だった有匡は、有輝の声で目を開けた。 「有・・輝・・私・・は・・お・・前・・に・・す・・ま・・な・・い・・こ・・と・・を・・し・・た・・許・・し・・て・・く・・れ・・」 「父上、何を・・」 「お・・前・・に・・償・・い・・き・・れ・・ぬ・・罪・・を・・負・・わ・・せ・・て・・し・・ま・・っ・・た・・こ・・の・・父・・を・・恨・・ん・・で・・く・・れ・・」 「いいえ父上、恨むなど!私は父上の子に生まれて良かった!父上の子であることを誇りに思っております!」 「そ・・う・・か・・」 そう言うと有匡は微笑んで、ゆっくりと瞳を閉じた。 「父上?父上ー!」 1年後。 有匡の墓に、有輝が1人、佇んでいた。 「父上、私は父上の子であることを誇りに思っております。」 桜の花びらが、有輝を優しく包み込んだ。 ―うたかた 完―
大変遅くなりました、うたかた最終話です。 文章がとびとびになってしまいました。 有匡の死というかたちでこの物語を終わらせました。 腹違いの妹との間に、3人の子を産ませ、絶えず罪の重さに苦しんだ有匡。 臨終の際に有輝に告げた謝罪の言葉。 だが有輝の、自分の子であることを誇りに思っているという言葉を聞き、安らかに生涯を閉じる。 子どもに親が誇りだって言われるのって結構嬉しいかもしれませんね。 話は変わりますが、桐壺の女御の深い恨みが土御門家の子孫を苦しめるという話は機会があったら書こうと思っておりますので。 では、この辺で失礼致します。 |