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第1話:再会 時は平安。 『源氏物語』、『枕草子』などの女流文学が盛んになり、宮廷で文学サロンが開かれ、京都が最も華やかだった頃。 陰陽道の大家・土御門家では、毎夜、管弦の宴が開かれていた。 「ほら、御覧になって、有匡様よ。」 「凛々しいお顔ねぇ。」 「和琴を弾くお姿がなんともお美しいこと。」 御簾越しに囁かれる女達の声に、有匡はウンザリしていた。 土御門家の嫡男・有匡は、現在27歳。 11代目当主・有仁(ありひと)と妖狐スウリヤとの間に生まれ、京一の陰陽師としてその名を轟かせている。 演奏が終わり、有匡は周囲のざわめきから遠ざかるため、北の庭へと行った。 (全く嫌になる。褒めそやすと思えば狐の子と蔑む・・宴などくだらない。) 有匡は庭にある桜の木に寄りかかった。 この桜の木は父・有仁が植えたものだ。 有仁は宇治で綾香という女と出会い、女児を1人もうけた。 悋気の強いスウリヤと比べて優しかった綾香に対して有仁は惹かれてゆき、宇治へと毎日通う程であった。 綾香の邸に植えられた桜を見て、有仁はその美しさに感動し、この京の邸へと植えたのであった。 愛人の存在を知りスウリヤは毎日綾香への呪詛を行った。 やがて綾香は女児を産んだ。 その女児は今15歳で、母親と母方の祖母と共に宇治で細々と暮らしているという。 (名は、なんといったかな・・) フワリと、木の陰から長い金髪が見え、桜色のうちぎを着た少女が現れた。 「火月様、有匡を驚かせてしまってはいけませんよ!」 火月の乳母らしき年配の女性が少女に声をかけた。 (火月だと?宇治で暮らしていたのではなかったのか?) 「有匡様、お久しゅうございます。」 火月の乳母が有匡に深々と一礼した。 「お兄様、お会いしたかった!」 そう言うと火月は有匡に抱きついた。 12年振りの再会であった。 大変お久しぶりでございます。 この小説は平井摩利先生の「火宵の月」(白泉社)の平安パラレルです。 有匡さんと火月ちゃんは異母兄弟という設定です。 拙い小説ですが、よろしければ貰ってくださいませ。 |