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オレはある感慨を抱いた。 リナを生み出したこの時代に感謝しよう と―――― 共にある時 榎本環さん リナがあと10年……いや、5年早く生まれていたら…… 戦乱の世の名残が熾き火のごとくに燻る……そんな時代を旅していたら…… 彼女は人間同士が殺しあう現場に立っていたかもしれなかった。 自分が納得しない戦いはしないだろうとは思うが、天性のトラブルメーカーな彼女のことだから、何かしらの形で関わってしまうだろうことは、火を見るより明らかな気がする。 リナは強い。 特に彼女が自身で天才と称する魔法は、オレが傭兵として戦場にあったあの場と比べてみても強大だ。 そのうえ種類も豊富、さらには回転も速いと来てる。 オレはここまで、ポンポンと、自由奔放に攻撃呪文を繰り出す魔道士を、リナに会うまで見たことはなかったんだ…… 今でも、リナがまったく苦い思いをせずに済んでいる、とはオレも思っていない。 ルークと戦ったことなどはその最たるものだっただろうと思う。 だがそれも、ただ人命と物資が消費されるだけの戦いに比べれば、ルークにとって意味あるものだったと……割り切ることはできないが、納得することはできたのだろう。 哀しみに涙したのはあの時だけで、それからをリナは笑顔で過ごせているのだから…… 彼女にとって、あの戦いはルークが望んでいたからこその結末であり、そのことが救いだったのではないだろうか―――― わかりにくいが、本当は心優しい彼女。 だからこそ。 オレは、リナの本気の魔法が、人間ではなく魔族にこそ向けられる、そんな時代に感謝を奉げよう。 そして、リナの隣にオレが在れるこの時代に――――
Fin.
<<環さんのコメント>> 題【共に在る時】 作品解説 レッサーデーモンに襲われている町に、助けに入ったリナ達。がコンセプトなイラストでした。 ただ純粋な、人間同士の戦争。 国と国の間でおこる戦闘に、リナが使われることのない世界って、幸せだと思いませんか? |