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血が流れる。 まるで其処から命までもが流れ出ていくように。 ぼろぼろと、滴り落ちていく。 痛む腕を押さえ、彼は眼前の人物を見据えた。 目の前には、女性。赤い粘液の纏わりついたナイフを握っている。それはたった今まで、彼の左腕に突き立てられていたものだった。 傷からは留まることを知らない血流。その量の多さに軽く舌打ちして、彼はまた方前へと視線を戻した。金の髪がばさりと広がって、視界を遮る。 苦しげに顰められた眉は、しかし傷の痛みによるものではなかった。 そんな彼の苦悶の表情すらも楽しむように、相手が嗤う。白い手にまで滴る血を、小さな舌でぺろりとなめ取りながら。 あまりにも妖艶で凄絶なその姿に、ガウリイは瞑目する。 ああ、どうして。 どうしてこんなことに。 萎えそうになる気力を振り絞って、しかし厳然たる事実に向き合うために、彼は彼女の名を呼んだ。 「……リナ……」 ――彼女は何も答えない。 |