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エドは、互いに抱き合って泣くウィリーとレイチェルを見て、部屋に入るのをやめた。 エリザベスはローズワース家にとって、太陽のような存在だった。 幼い頃病弱だったエドはよくいじめられて毎日泣いていた。だがその度にエリザベスが慰めてくれた。 「お前は他人よりもいいものを持っているのよ。お前はまだそれに気づいていないだけ。」 エドは外で遊べない代わりに、本をたくさん読み、物語を書き始めた。 彼が書く物語は、独創性に満ちた素晴らしいものばかりだった。 やがてエドは作家になることを夢に見て、出版社の懸賞に応募するようになった。何年か苦労した後、彼の努力は実を結んだ。 エリザベスは孫の作家デビューに家族の中の誰よりも一番喜んでいた。 エドの処女作『湖と狼』が出版された時、朝一番で本屋へ買いに行った。 いつも自分を励まし、支えてくれた祖母はもういない。 「おばあ様・・」 エリザベスの手垢で真っ黒になった自分の小説を見ながら、エドは泣いた。 その頃、ロンドンに着いたばかりのボリニュイ大尉は、新聞でエリザベスの死を知った。 「あの女は死んだか・・ではすぐにローズワース家に向かわなければな。」 ボリニュイは新聞をゴミ箱へ捨て、ローズワース邸へと向かった。 「これで全部片付いたわね。」 姉の遺品を整理し終えたレイチェルはそう言って、スカートについている埃を手で払った。 「なんだか寂しくなるね。」 「ええ・・」 Novel&Message by 千菊丸さん |