PURE

第五幕
『炎の涙』

第一章
第3話


作:千菊丸さん
エドは、互いに抱き合って泣くウィリーとレイチェルを見て、部屋に入るのをやめた。
エリザベスはローズワース家にとって、太陽のような存在だった。
幼い頃病弱だったエドはよくいじめられて毎日泣いていた。だがその度にエリザベスが慰めてくれた。
「お前は他人よりもいいものを持っているのよ。お前はまだそれに気づいていないだけ。」
エドは外で遊べない代わりに、本をたくさん読み、物語を書き始めた。
彼が書く物語は、独創性に満ちた素晴らしいものばかりだった。
やがてエドは作家になることを夢に見て、出版社の懸賞に応募するようになった。何年か苦労した後、彼の努力は実を結んだ。
エリザベスは孫の作家デビューに家族の中の誰よりも一番喜んでいた。
エドの処女作『湖と狼』が出版された時、朝一番で本屋へ買いに行った。
いつも自分を励まし、支えてくれた祖母はもういない。
「おばあ様・・」
エリザベスの手垢で真っ黒になった自分の小説を見ながら、エドは泣いた。
その頃、ロンドンに着いたばかりのボリニュイ大尉は、新聞でエリザベスの死を知った。
「あの女は死んだか・・ではすぐにローズワース家に向かわなければな。」
ボリニュイは新聞をゴミ箱へ捨て、ローズワース邸へと向かった。
「これで全部片付いたわね。」
姉の遺品を整理し終えたレイチェルはそう言って、スカートについている埃を手で払った。
「なんだか寂しくなるね。」
「ええ・・」










Novel&Message by 千菊丸さん


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