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エリザベスの死にフランソワは打ちのめされ、自室にこもったまま出てこない。 レイチェルとウィリーは、エリザベスの遺品を整理した。 「これは?」 ウィリーはアルバムの中から、軍服を着た青年と映っている若い頃のエリザベスの写真を見て言った。 「ああ、それはウィーンでルドルフ皇太子様と撮ったものなのよ。」 レイチェルは写真を手に取りながら懐かしそうに言った。 「ルドルフ皇太子って・・マイヤーリンクで自殺した?」 「ええ、そうよ。お姉様は皇太子様のお妃候補だったのよ。」 レイチェルはそう言ってため息をついた。 「でもお姉様には見えていたのよ。皇太子様に迫り来る死の影が・・そして、皇太子様は本当に・・」 「母さんがさっき言ってたことは本当かな?」 『近い内に戦争が起きるわ。』 「ええ。お姉様の予言はいままで一度も外れたことがないのよ。」 レイチェルはそう言って姉の服を整理した。 「子どもの頃、いつも私をいじめてた男の子がいてね、お姉様がその子に、『下痢するわよ』って言 ったら、その子本当に下痢になったのよ。」 「そんなことが・・」 「お姉様には見えたのよ。自分の死が。そして未来が。」 レイチェルはそう言って涙を流した。 「お姉様に会いたい。今とっても会いたいのよ。」 「僕もだよ、レイチェル伯母さん。」 ウィリーとレイチェルは互いに抱き合って泣いた。 Novel&Message by 千菊丸さん |