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1914年4月、イギリス・ロンドン。 ローズワース家の邸宅にあるエリザベスの寝室には、夫やその子ども達、そして孫達が集まっていた。 「母さん、しっかりして!」 ウィリーは母の手を握りながら言った。 「ウィリー・・」 エリザベスは目を開け、ベッドで上体を起こした。 「母さん、大丈夫なの?」 「ええ・・私はこんな所で死ねないのよ。これから、恐ろしいことが起きるの。」 「恐ろしいこと?それはなんなの、お姉様?」 レイチェルはそう言って姉の顔を見つめた。 「近い内に、戦争が起きるわ。その戦争は悲劇によって起きるわ。」 「本当なの、それ?」 レイチェルの言葉に、エリザベスは静かに頷いた。 「この戦争でたくさんの命が犠牲になる。4年経った後、この戦争は終わる。それまでに大勢の子ども達は父を失い、女達は夫を失うわ。そしてまた過ちを繰り返す。」 そう言ってエリザベスは咳き込んだ。 「お姉様、しっかりして!」 「これからの世を作るのは、ウィリー、あなたとその子ども達よ。どうか・・どうかこの世を平和に・・」 そう言ってエリザベスは力尽きた。 「お姉様ー!」 1914年4月26日。 エリザベス=ローズワースは肺結核により67歳でこの世を去った。 第五幕『炎の涙』、スタートです。 『炎の涙』は二部構成にします。 第一章は第一次世界大戦を取り上げたいと思います。 全21話を予定しております。 予言を残してこの世を去ったエリザベス。 彼女には何が見えていたのか・・。 Novel&Message by 千菊丸さん |