PURE

第四幕
『晩夏』

第24話


作:千菊丸さん
「エリザベスから君のことは聞いてるよ。まるで兄のように頼もしい存在だと。」
ルドルフの言葉に、フランソワの眉がつり上がった。
「僕も、あなたのことを風の噂で聞きましたよ。」
「ほう?」
「女性をゴミのように捨てて、浮き名を流していらっしゃるとか。」
―なんということを・・
―皇太子様に向かって・・
フランソワの言葉に、まわりがざわめく。
「やれやれ、そんな風に言われているとは・・」
ルドルフはそう言ってククッと笑った。
「うまいお世辞よりも、直接罵られる方が好きでね。」
金色の髪をなびかせながら、ルドルフは余裕の表情で言った。
「そろそろ失礼しても?」
「ええ、構いませんわ。」
「今日はあなたと過ごせて嬉しかった。」
そう言ってルドルフはエリザベスの手にキスした。
「私はなんとしてもエリザベスを手に入れる・・」
フランソワの耳元で、ルドルフは囁いた。
「望むところです。」
スイス宮にある私室に戻り、ルドルフはフランソワの怒りに燃える瞳を思い出した。
あの青年は、エリザベスに惚れている。
だが使用人ごときに、エリザベスを渡すわけにはいかない。
エリザベスは自分にとって、運命の相手なのだから。
エリザベスにとって、19年間の闇を照らしてくれた一筋の光。
王族ではないが、ハプスブルク家にはふさわしい家柄。
これまで多くの女性と浮き名を流してきたが、心はいつも空っぽだった。
だがエリザベスと一緒にいると、心が満たされる。
彼女を守ってやりたいと、心から思う。
(来るなら来い。私は必ず、エリザベスを妻にする。)
(エリザベス様は渡さない、あんな男なんかに!)
ホテルの部屋で、フランソワはルドルフへの怒りに燃えていた。









Novel&Message by 千菊丸さん


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