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ジャスティンはフランソワを罵りながら殴った。
「お前みたいなクズは目障りなんだよ。」 フランソワはジャスティンのすねを蹴った。 「この野郎・・」 「お前だってクズだ!」 「言わせておけば!」 ジャスティンはそう言ってフランソワに飛びかかった。 「やめなさい!」 鋭い声がしてフランソワが振り向くと、そこには険しい顔をしたエリザベスが立っていた。 「エリザベス、ご機嫌麗しゅう。」 ジャスティンはエリザベスに微笑んで、彼女の手にキスしようとした。 だが、エリザベスはジャスティンを突き飛ばした。 「なれなれしいにも程があるわ。」 エリザベスはそう言って扇子をあおいだ。 「フランソワ、どうして喧嘩なんて・・」 「こいつがエリザベス様のことを『変人』って・・」 「こいつはお前と一緒になりたいから、諦めさせようと思ったのさ。」 「そう。でもあなたとはお付き合いしたくないわ。顔を見るのも嫌。」 ジャスティンの顔が怒りで赤くなった。 「このアマ、いい気になりやがって!この、汚らわしい魔女が!」 ジャスティンはそう言ってエリザベスを殴ろうとした。 「レディに手をあげるとは、感心しないな。」 ルドルフが2人の間に羽って入った。 「君は招待されてないはずだろう?さっさと帰りたまえ。」 「クソッ」 ジャスティンは舌打ちして広間を出ていった。 「助かりました。」 「いいえ。」 その時、フランソワとルドルフの目が合った。 「君は?」 「エリザベス様の従者で、フランソワと申します、皇太子様。」 フランソワは挑むようにルドルフに言った。 ルドルフはフランソワに向かって微笑んだ。 だがそれは、心からの笑みではなかった。 「こちらこそ、よろしく。私はエリザベスさんの婚約者のルドルフだ。」 “婚約者”という言葉に、フランソワはムカッときていた。 ルドルフは恋敵を観察している。 (戦うには、充分な相手だな。) 男同士の戦いが、静かに始まった。 Novel&Message by 千菊丸さん |