PURE

第四幕
『晩夏』

第19話


作:千菊丸さん
ルドルフと別れ、部屋に戻ると、そこには怒りで顔を歪ませたレイチェルが立っていた。
「レイチェル、どうしてそんな顔をしているの?」
「お姉様、フランソワが部屋に籠もったきりで出てこないの。」
「フランソワが?どうして?」
「どうしてですって?」
レイチェルの美しい眉がつりあがっている。
「お姉様、皇太子様とカフェで話してたでしょう。フランソワはそれを見て、落ち込んでいたわ!」
「そんな・・」
ルドルフと話してた時、フランソワがそれを見ていた。
「フランソワ、お姉様を諦めるって。」
エリザベスの目が驚きで大きく見開かれた。
「お姉様は残酷よ。フランソワのこと、愛していながら皇太子様とおつき合いしているのでしょう。」
レイチェルの言葉が刃のようにエリザベスの胸に突き刺さる。
「お姉様って、ひどい方ね。」
レイチェル言いたいだけ言うと、自分の部屋に入ってしまった。
「フランソワ・・」
エリザベスはフランソワの部屋のドアをノックした。
「私よ、開けて。」
「お嬢様は皇太子様と結婚するのでしょう?」
「私はあの方と結婚しないわ。」
「どうしてです?」
フランソワが部屋から出てきた。
「フランソワ、私が愛しているのはあなただけよ。」
エリザベスはそう言ってフランソワの胸に飛び込んだ。
「私は皇太子妃になんかなりたくないの。ルドルフ様・・皇太子様は素敵な方だけれど、私はあなたといたいの!仕組まれた結婚なんて嫌!」
「お嬢様・・」
「エリザベスと呼んで。」
「エリザベス・・」
フランソワはそう言ってエリザベスを抱きしめた。
「愛してるわ、フランソワ。」
「エリザベス・・」
フランソワとエリザベスはその夜、結ばれた。
「お嬢様、それは?」
フランソワはそう言ってエリザベスの背中にある槍傷を指さした。
「ああ、これ?生まれたときからあるのよ。」
そう言ってエリザベスはフランソワの額を撫でた。
そこには、奇妙な目の入れ墨があった。
「生まれたときからあるんです。」
「不思議ね。」
2人はやがて眠りに就いた。
前世から繋がっている絆のことなど知らずに。









Novel&Message by 千菊丸さん


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