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ルドルフと別れ、部屋に戻ると、そこには怒りで顔を歪ませたレイチェルが立っていた。
「レイチェル、どうしてそんな顔をしているの?」 「お姉様、フランソワが部屋に籠もったきりで出てこないの。」 「フランソワが?どうして?」 「どうしてですって?」 レイチェルの美しい眉がつりあがっている。 「お姉様、皇太子様とカフェで話してたでしょう。フランソワはそれを見て、落ち込んでいたわ!」 「そんな・・」 ルドルフと話してた時、フランソワがそれを見ていた。 「フランソワ、お姉様を諦めるって。」 エリザベスの目が驚きで大きく見開かれた。 「お姉様は残酷よ。フランソワのこと、愛していながら皇太子様とおつき合いしているのでしょう。」 レイチェルの言葉が刃のようにエリザベスの胸に突き刺さる。 「お姉様って、ひどい方ね。」 レイチェル言いたいだけ言うと、自分の部屋に入ってしまった。 「フランソワ・・」 エリザベスはフランソワの部屋のドアをノックした。 「私よ、開けて。」 「お嬢様は皇太子様と結婚するのでしょう?」 「私はあの方と結婚しないわ。」 「どうしてです?」 フランソワが部屋から出てきた。 「フランソワ、私が愛しているのはあなただけよ。」 エリザベスはそう言ってフランソワの胸に飛び込んだ。 「私は皇太子妃になんかなりたくないの。ルドルフ様・・皇太子様は素敵な方だけれど、私はあなたといたいの!仕組まれた結婚なんて嫌!」 「お嬢様・・」 「エリザベスと呼んで。」 「エリザベス・・」 フランソワはそう言ってエリザベスを抱きしめた。 「愛してるわ、フランソワ。」 「エリザベス・・」 フランソワとエリザベスはその夜、結ばれた。 「お嬢様、それは?」 フランソワはそう言ってエリザベスの背中にある槍傷を指さした。 「ああ、これ?生まれたときからあるのよ。」 そう言ってエリザベスはフランソワの額を撫でた。 そこには、奇妙な目の入れ墨があった。 「生まれたときからあるんです。」 「不思議ね。」 2人はやがて眠りに就いた。 前世から繋がっている絆のことなど知らずに。 Novel&Message by 千菊丸さん |