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「アンヌ、こいつは・・」 「今朝市場で買いましたの。私付きの小姓のカリンですわ。」 「私は聞いていないぞ!」 モンテリオオは声を荒げた。 「小姓が欲しかったところですの。朝奴隷商人から買いましたのよ。」 アンヌはマリーに結ってもらった髪を鏡で見ながら、夫の様子を見ながら続けた。 「700万ルーブルで。」 「700万ルーブルだと!」 モンテリオは気絶しそうになりながらも、なんとか持ちこたえた。 「こんなやせっぽちに大金を払って!一体お前は何を考えているんだ!」 「あら、あのエメラルドよりもこの子の方が価値がありますわ。」 そう言ってアンヌはモンテリオを見た。 「お前、母上のエメラルドを・・」 モンテリオは妻の胸ぐらをつかんだ。 「お前、なんということを!あのエメラルドは、母が結婚祝いに贈ってくれたものだぞ、それを、お前は・・」 「父が大事にしていたルビーのロザリオを売って、あの女に城を与えたのはどなたかしら?」 アンヌはそう言って、モンテリオの手首をつかんで振り払った。モンテリオはベッドの柱に顔をぶつけた。 「仕方ないだろう、あれは・・」 「あのロザリオは、父の形見だったの。」 アンヌはそう言って、モンテリオの顔をふみつけた。モンテリオは低い悲鳴をあげた。 「あなたのお母様から貰った物など、ひとつ残らず売り払ってやるわ。」 「あの、エメラルドのネックレスって・・」 「ああ、あれはお前を買うために売ったの。あの人のお母様のお気に入りだったそうで・・」 そう言うとアンヌは扇子で口元を隠して笑った。 「カリン、あの人のことは気にしないで。あの人は何もできないヘナチョコなんだから。」 「でも、愛していらっしゃるんじゃ・・」 「愛しているですって?私が、あの人を?」 そう言うとアンヌは大声で笑った。 「あの人を愛しているなどいるものですか。あの人は愛人をつくり、子どもまでいるんだから。」 「あ、愛人!」 カリンはアンヌの言葉に赤面した。 「ウブねぇ。その様子じゃ、まだ女も知らないようね。」 「だってアンヌ様がいきなり・・」 「可愛いがり甲斐があるわ。」 「アンヌ様の意地悪っ!!」 そう言ってカリンはむくれた。アンヌはそれを見てまた大声で笑った。 「なんて面白いのかしら、お前は。宮廷ではおもちゃにされるわね。」 馬車はやがて王宮に着いた。 天井が高く、広い王宮は、カリンにとって新鮮だった。 「うわぁー、広い。」 「早くついてきなさい、迷子になるわよ。」 アンヌの声でカリンは我に返り、彼女の後を追った。 「これから閣議だわ。今日は色々とやらなきゃならないことが多いから、帰りが遅くなりそう。」 アンヌはそう言って廊下を歩いていたが、ピタリとその足が止まった。 「どうか、なさったんですか?」 アンヌの視線の先には、貴婦人達がいた。 その中に、ルビーのロザリオを下げている女がいた。 アンヌさん、カリンちゃんをからかってます。 マダムからおもちゃにされる若いツバメ状態(←おい)。 ルビーのロザリオを下げた女は、アンヌの宿敵です。 誰の転生した姿なのかは、次回でわかります。 Novel&Message by 千菊丸さん |