PURE

第四幕
『晩夏』

第13話


作:千菊丸さん
ルドルフ成人祝いの舞踏会で、貼り付いた笑みを浮かべた。
財産目当ての令嬢。
媚びを売るためだけに来た貴族。
うんざりする。
皆笑みを浮かべて、腹の黒いのを隠して。
皇太子−いずれは皇帝となる人物−に媚びを売って損はないだろうという卑しい魂胆。
華やかさの裏に潜む、黒い感情。
「ルドルフ様だわ・・」
自分の姿を見つけるやいなや、騒ぎ出す女達。
その中で、隅にたたずむ女が1人。
濃紺のドレスに、真珠のネックレス。
フロイデナウ競馬場で会った女(ひと)だった。
ルドルフは、女の元へと歩いていった。
エリザベスは、広間の隅で視線を避けるようにして立っていた。
肩が丸見えになったドレスをっちいに無理矢理着せられ、背中の傷があらわとなる。
まるで彼女を罰しているように。
音楽や、人々のざわめきから逃れたい。
コツコツと、靴音がしてエリザベスは振り向いた。
彼女の前に立っていたのは、皇太子のルドルフだった。
紺の燕尾服を着て、蒼い瞳でエリザベスを見つめている。
「ルドルフ様、こちらは私の娘で、エリザベスと申します。失礼ですがフロイライン、どこかでお会いしましたか?」
「ええ、フロイデナウ競馬場で・・」
その時、エリザベスは父を見た。
ウィリアムは娘にウィンクしている。
(お父様、あなたという人は・・)
エリザベスの中で、父に対する激しい憤りが渦巻いた。
「どうかさないましたか?」
ルドルフがけげんそうな顔をして言った。
「いいえ・・」
「1曲、踊ってくださいませんか?」
「喜んで。」
エリザベスとルドルフは、好奇心に駆られた人々の輪の中で、踊り始めた。
エリザベスはルドルフの手が触れた時、ルドルフの幼い頃が見えた。
愛されることも知らず、孤独に包まれた日々。
(私と、似ているわ・・)
自分と同じものを感じる。
−これは運命なのなのか−
エリザベスはルドルフとの出会いに偶然と思えぬものを感じた。









Novel&Message by 千菊丸さん


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