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エリザベスは邸に入った途端、自分に好奇という名の視線のナイフが飛んできてるのを感じた。
「私、やっぱり帰るわ。」 「お姉様、大丈夫よ。」 そう言ってレイチェルは姉を促す。 「エリザベス様、久しいですわね。」 「もう風邪は治りましたの?」 「美しいドレスですわね。」 扇子を口元で隠しながら、クリスティーナ、エミリー、アンジェリンが近づいてきた。 エリザベスはあからさまに嫌そうな顔をした。 「かしましいのは、相変わらずね。」 3人はムッとした顔をした。 「そういえば3ヶ月後には20歳となられますのね。」 「ええ、そうなの。それがどうかして?」 エリザベスはエミリーを警戒した。 何故突然そんなことを持ち出すのか。 「ルドルフ様と同じ誕生日なのでしょう?」 エリザベスとオーストリア=ハンガリー帝国交代し・ルドルフは同じ8月21日生まれだ。 ただしエリザベスは1857年、ルドルフは1858年と1年違いだが。 「うらやましいわあ、ルドルフ様と同じ日なんて。」 クリスティーナが目を細めて言った。 「もうすぐ成人を迎えられるんですってね。」 「誰がお妃になられるのかしら?」 エリザベスは3人がルドルフの話をして自分を嘲ろうとしているのがわかった。 「私よりも、あなた達の方が、あの方にお似合いではなくて?」 エリザベスは間髪入れずに言った。 「頭が空っぽで、扱いやすいでしょう。」 3人は扇子を握り潰した。 ジャスティンはゆっくりとエリザベスに近づいた。 「あら、誰かと思えば、バークレー家の道楽息子ね。」 エリザベスの手に、ジャスティンはキスをした。 「エリザベス様、今度キツネ狩りでも。」 「ええ、あなた以外なら誰でも。」 エリザベスは微笑みながら言った。 「やれやれ、守りが堅いな。」 ジャスティンの親友でパリに高級ブティックを持つディミトリーが言った。 「ああ、なんたって彼女は・・」 エリザベスが仕方なく紳士達とダンスを踊っている頃、モーリア夫人がブロンズ家のパーティーへと向かっていた。 ダンスが終わると、エリザベスは近くの椅子に座った。とても疲れていた。 そこへ滑るように、深緑のドレスを着た女性がやってきた。 Novel&Message by 千菊丸さん |