PURE

第四幕
『晩夏』

第4話


作:千菊丸さん
エリザベスは邸に入った途端、自分に好奇という名の視線のナイフが飛んできてるのを感じた。
「私、やっぱり帰るわ。」
「お姉様、大丈夫よ。」
そう言ってレイチェルは姉を促す。
「エリザベス様、久しいですわね。」
「もう風邪は治りましたの?」
「美しいドレスですわね。」
扇子を口元で隠しながら、クリスティーナ、エミリー、アンジェリンが近づいてきた。
エリザベスはあからさまに嫌そうな顔をした。
「かしましいのは、相変わらずね。」
3人はムッとした顔をした。
「そういえば3ヶ月後には20歳となられますのね。」
「ええ、そうなの。それがどうかして?」
エリザベスはエミリーを警戒した。
何故突然そんなことを持ち出すのか。
「ルドルフ様と同じ誕生日なのでしょう?」
エリザベスとオーストリア=ハンガリー帝国交代し・ルドルフは同じ8月21日生まれだ。
ただしエリザベスは1857年、ルドルフは1858年と1年違いだが。
「うらやましいわあ、ルドルフ様と同じ日なんて。」
クリスティーナが目を細めて言った。
「もうすぐ成人を迎えられるんですってね。」
「誰がお妃になられるのかしら?」
エリザベスは3人がルドルフの話をして自分を嘲ろうとしているのがわかった。
「私よりも、あなた達の方が、あの方にお似合いではなくて?」
エリザベスは間髪入れずに言った。
「頭が空っぽで、扱いやすいでしょう。」
3人は扇子を握り潰した。
ジャスティンはゆっくりとエリザベスに近づいた。
「あら、誰かと思えば、バークレー家の道楽息子ね。」
エリザベスの手に、ジャスティンはキスをした。
「エリザベス様、今度キツネ狩りでも。」
「ええ、あなた以外なら誰でも。」
エリザベスは微笑みながら言った。
「やれやれ、守りが堅いな。」
ジャスティンの親友でパリに高級ブティックを持つディミトリーが言った。
「ああ、なんたって彼女は・・」
魔女だからな。

エリザベスが仕方なく紳士達とダンスを踊っている頃、モーリア夫人がブロンズ家のパーティーへと向かっていた。
ダンスが終わると、エリザベスは近くの椅子に座った。とても疲れていた。
そこへ滑るように、深緑のドレスを着た女性がやってきた。









Novel&Message by 千菊丸さん


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