PURE

第四幕
『晩夏』

第2話


作:千菊丸さん
エリザベスはその日の夕方、浮かない顔で身支度をした。
メイド達がエリザベスのコルセットを締めると、エリザベスは低く呻いた。
「お嬢様、耐えてください。」
ドレスはパリから届いた真紅のものを着た。
アクセサリーは母の形見である真珠の2連のネックレスを。
「お姉様、とてもきれいよ。」
着替えを終えたレイチェルがエリザベスの艶姿を見を見た。
レイチェルは薔薇の刺繍が入った水色のドレスを着て、首には真珠のチョーカーをはめていた。
「私、嫌だわ。なんだか自分ではないみたい。」
鏡に映る自分の姿を見てエリザベスはため息を付いた。
「ただでさえ私は目立つのに、これじゃあ娼婦のようだわ。」
胸元が大きく開いたドレスを見て、エリザベスは言った。
「これが普通なのよ。ジョゼフがしびれを切らせて私たちを待ってるわ。」
さあ行きましょうと、レイチェルは姉の手をひいて馬車へと向かった。
その頃、モーリア夫人はある事件の捜査に協力していた。
その事件とは、2年前ブロンスキー公爵家の末娘・リリーが邸の庭で行方不明となり、未だ消息がわからずじまいにだった。
ロンドン警察は全力で少女の行方を捜したが、未だ重要な手がかりがつかめないままだった。
そこで、モーリア夫人に声がかかった。
モーリア夫人はエリザベスと同じく、超能力者だった。
モーリア夫人は、リリーが事件当日につけていたリボンを触った。
その時、彼女の目に映ったものは、土の中でもがいているリリーと、イチイの木がある庭、そして気味の悪い笑みを浮かべた男。
「リリーはイチイの木がある庭に埋められたわ。リリーは殺された。殺したのはその男よ。」
モーリア夫人はそう言って、刑事に似顔絵を渡した。
そこには、ボサボサの赤毛で目尻にホクロがある男が描いてあった。
警察は、すぐ動き出した。
その頃、エリザベスとレイチェルを乗せた馬車は、ブロンズ邸に着いた。
「大丈夫よ、お姉様。私がついてるわ。」
「そう・・ね・・」
エリザベスは、不穏な空気を肌で感じ取った。
その時、彼女の耳に、幼女の声がきこえた。
『助けて。』










Novel&Message by 千菊丸さん


戻る / 貰いモノは嬉し!へ戻る