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エリザベスはその日の夕方、浮かない顔で身支度をした。
メイド達がエリザベスのコルセットを締めると、エリザベスは低く呻いた。 「お嬢様、耐えてください。」 ドレスはパリから届いた真紅のものを着た。 アクセサリーは母の形見である真珠の2連のネックレスを。 「お姉様、とてもきれいよ。」 着替えを終えたレイチェルがエリザベスの艶姿を見を見た。 レイチェルは薔薇の刺繍が入った水色のドレスを着て、首には真珠のチョーカーをはめていた。 「私、嫌だわ。なんだか自分ではないみたい。」 鏡に映る自分の姿を見てエリザベスはため息を付いた。 「ただでさえ私は目立つのに、これじゃあ娼婦のようだわ。」 胸元が大きく開いたドレスを見て、エリザベスは言った。 「これが普通なのよ。ジョゼフがしびれを切らせて私たちを待ってるわ。」 さあ行きましょうと、レイチェルは姉の手をひいて馬車へと向かった。 その頃、モーリア夫人はある事件の捜査に協力していた。 その事件とは、2年前ブロンスキー公爵家の末娘・リリーが邸の庭で行方不明となり、未だ消息がわからずじまいにだった。 ロンドン警察は全力で少女の行方を捜したが、未だ重要な手がかりがつかめないままだった。 そこで、モーリア夫人に声がかかった。 モーリア夫人はエリザベスと同じく、超能力者だった。 モーリア夫人は、リリーが事件当日につけていたリボンを触った。 その時、彼女の目に映ったものは、土の中でもがいているリリーと、イチイの木がある庭、そして気味の悪い笑みを浮かべた男。 「リリーはイチイの木がある庭に埋められたわ。リリーは殺された。殺したのはその男よ。」 モーリア夫人はそう言って、刑事に似顔絵を渡した。 そこには、ボサボサの赤毛で目尻にホクロがある男が描いてあった。 警察は、すぐ動き出した。 その頃、エリザベスとレイチェルを乗せた馬車は、ブロンズ邸に着いた。 「大丈夫よ、お姉様。私がついてるわ。」 「そう・・ね・・」 エリザベスは、不穏な空気を肌で感じ取った。 その時、彼女の耳に、幼女の声がきこえた。 『助けて。』 Novel&Message by 千菊丸さん |