PURE

第三幕
『嵐』

第9話


作:千菊丸さん
カトリーヌはいつものように、スーザンの元へバレエのレッスンを受けていた。
だが、カトリーヌの頭の中はアンドリューのことでいっぱいだった。
レッスンが終わり、スーザンは険しい顔をしていた。
「あなた、アンドリュー様のことを考えていたわね?」
「奥様・・」
カトリーヌは、スーザンとまともに目を合わせられなかった。
「どうやら、図星のようね。」
スーザンはそう言って、カトリーヌをレッスン室から居間へと連れて行き、メイドに紅茶を頼んだ。
「アンドリュー様とあなたが恋仲になることは、あのパーティーでわかったわ。」
スーザンはそう言って笑った。
「私も、同じだったから。」
「奥様も、好きな方が?」
「ええ、昔ね。彼は東方の異民族で、美しい金髪ときれいな紅の瞳をしていたわ。」
スーザンはカトリーヌに語り始めた。
エドワードと結婚する前、スーザンは異民族の青年と恋に落ちた。だが彼女には縁談があった。
やがてスーザンは彼の子を妊娠し、人知れず出産した。
「私が最も、激しく恋をした時だったわ。」
そう言ったスーザンの目には、光るものがあった。
「お子さんは?あの後どうしたんですか?」
スーザンは目を伏せた。
「産まれた後、子どもは修道院がやっている孤児院に預けられて、それっきり・・」
「ごめんなさい。」
「いえ、いいのよ。」
そう言うとスーザンはカトリーヌの額を見た。
「生きていたら、ちょうどあなたぐらいの年かしら。」
スーザンはカトリーヌを見つめて言った。
「アンドリュー様との恋を実らせるには、さまざまな障害がありそうね。本当に彼のことを愛しているなら、クレア様の気持ちも1度考えたらどうかしら?」
「クレア様とは政略結婚だから、アンドリュー様は愛していないと言っています。」
アンドリューはクレアのことなど愛していない。ただ世間体を保つためだけの『仮面夫婦』だと。
カトリーヌの言葉に、スーザンの眉尻が上がる。
「さあ、それはどうかしら?クレア様は見たところ、アンドリュー様のことを愛しているんじゃなくて?」
「あんなブスが?嘘でしょう?!」
カトリーヌはそう言って笑ったとき、気分が悪くなった。
「カトリーヌ、あなた・・」
「もしかして・・」
カトリーヌはそっと下腹部に手を触れた。
ナタリーはパリに戻り、水晶玉でスーザンとカトリーヌの会話を聞いていた。
「なんとかしなくてはね・・」
ナタリーは、カトリーヌの額の入れ墨を見た。
「呪われた印が、あの娘にも・・」










Novel&Message by 千菊丸さん


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