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クレアは、夫の帰りが遅いことにイラついていた。 また彼女はルーシーを虐待した。クレアはイライラした時にはルーシーを虐待するようになっていた。 クレアは友人もおらず、孤独だった。 実家はドーヴァーにあり、クレアは邸の中でルーシーと2人っきりの状態だった。 「お前のせいよ!」 クレアは今日も、罪のない娘を虐待する。 容赦なく鞭を打ち、張り手を打つ。 「やめてぇ、許してぇ!」 ルーシーの泣き声は、クレアの耳には届かなかった。 既に彼女は、阿修羅になりつつあった。 フランス・パリ。 1人の女が、ロンドンの甥の妻からの手紙を読み終わり、暖炉にその手紙を投げ捨てていた。 「ナタリー様、旦那様が・・」 執事が慌てた様子で部屋に入ってきた。 「すぐ行くわ。」 ナタリー=カトリーヌ=アンジュ=ドルヴィエは立ち上がり、父・ニコル=フランソワ=シャルル=カリン=ダニエル=ドルヴィエの元へと向かった。 「お父様。」 しわだらけの父の手を、ナタリーは握った。 「ナタリー・・」 「お父様、私を置いて逝かないで。」 ナタリーはそう言って涙を流した。 ニコルは娘の頭を撫でた。 「私はこれからガブリエル達の元へと逝く。私はお前達2人の娘に恵まれて幸せだった。」 そう言ってニコルは瞳を閉じた。 『ニコル。』 ガブリエルが、しわだらけのニコルの手を握る。 『ニコル、行きましょう。これからは、ずっと一緒よ。』 「お父様・・お父様?!」 1612年7月12日。 ガブリエルの弟でドルヴィエ家2代目当主・ニコル=フランソワ=シャルル=カリン=ダニエル=ドルヴィエ、死去。 78歳だった。 「葬儀の準備を。」 ナタリーは淡々と執事に言った。 「アンドリュー様にはこのことは・・」 「いいわ。私だけで父を見送ります。」 ナタリーはそっと、父の手を撫でた。 「さよなら、お父様・・」 ナタリーはロンドンの甥のことが気がかりだった。 甥は最近、パン屋の娘に夢中になっていると、甥の妻から手紙が来た。 (1度、その娘を確かめなくては。) 父の葬儀が終わるとすぐに、ナタリーはロンドンへと向かった。 ナタリーは『ジョーンズ』というパン屋を馬車の中から見た。手紙によると、娘はここの主人の養女であるらしい。 しばらく様子をうかがっていると、パン屋の中から金髪紅眼の少女が出てきた。 ナタリーは目をみはった。 (ガブリエル?!) 少女はナタリーの、若くして亡くなった叔父にそっくりだったのだ。 Novel&Message by 千菊丸さん |