PURE

第三幕
『嵐』

第7話


作:千菊丸さん
クレアは、夫の帰りが遅いことにイラついていた。
また彼女はルーシーを虐待した。クレアはイライラした時にはルーシーを虐待するようになっていた。
クレアは友人もおらず、孤独だった。
実家はドーヴァーにあり、クレアは邸の中でルーシーと2人っきりの状態だった。
「お前のせいよ!」
クレアは今日も、罪のない娘を虐待する。
容赦なく鞭を打ち、張り手を打つ。
「やめてぇ、許してぇ!」
ルーシーの泣き声は、クレアの耳には届かなかった。
既に彼女は、阿修羅になりつつあった。

フランス・パリ。
1人の女が、ロンドンの甥の妻からの手紙を読み終わり、暖炉にその手紙を投げ捨てていた。
「ナタリー様、旦那様が・・」
執事が慌てた様子で部屋に入ってきた。
「すぐ行くわ。」
ナタリー=カトリーヌ=アンジュ=ドルヴィエは立ち上がり、父・ニコル=フランソワ=シャルル=カリン=ダニエル=ドルヴィエの元へと向かった。

「お父様。」
しわだらけの父の手を、ナタリーは握った。
「ナタリー・・」
「お父様、私を置いて逝かないで。」
ナタリーはそう言って涙を流した。
ニコルは娘の頭を撫でた。
「私はこれからガブリエル達の元へと逝く。私はお前達2人の娘に恵まれて幸せだった。」
そう言ってニコルは瞳を閉じた。

『ニコル。』

ガブリエルが、しわだらけのニコルの手を握る。

『ニコル、行きましょう。これからは、ずっと一緒よ。』

「お父様・・お父様?!」

1612年7月12日。
ガブリエルの弟でドルヴィエ家2代目当主・ニコル=フランソワ=シャルル=カリン=ダニエル=ドルヴィエ、死去。
78歳だった。


「葬儀の準備を。」

ナタリーは淡々と執事に言った。

「アンドリュー様にはこのことは・・」
「いいわ。私だけで父を見送ります。」

ナタリーはそっと、父の手を撫でた。
「さよなら、お父様・・」
ナタリーはロンドンの甥のことが気がかりだった。
甥は最近、パン屋の娘に夢中になっていると、甥の妻から手紙が来た。
(1度、その娘を確かめなくては。)
父の葬儀が終わるとすぐに、ナタリーはロンドンへと向かった。
ナタリーは『ジョーンズ』というパン屋を馬車の中から見た。手紙によると、娘はここの主人の養女であるらしい。
しばらく様子をうかがっていると、パン屋の中から金髪紅眼の少女が出てきた。
ナタリーは目をみはった。

(ガブリエル?!)

少女はナタリーの、若くして亡くなった叔父にそっくりだったのだ。





続く
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