PURE

第三幕
『嵐』

第5話


作:千菊丸さん
クレアは重い足取りで邸を後にした。
「お母様、お腹空いた。」
走り寄ってくるルーシーを無視して、クレアは酒を飲んでいた。
夫が自分のことを嫌っている。
あの鍛冶屋の娘を忘れられないことは知っていた。
自分はアンドリューが見向きもしない女だ。
それでも、彼が欲しかった。
家のためだけでなく、アンドリューに一目惚れしたからだ。
だが、カトリーヌと話しているアンドリューの横顔にクレアは打ちのめされた。
(どうして私じゃないの・・どうして・・)
クレアは、ワインを5本、空にした。
「お母様、お腹空いた。」
ルーシーがすり寄ってくる。
「・・うるさい。」
クレアはルーシーの両肩をつかんで強く揺さぶった。
「うるさい、うるさい!」
ルーシーの体を強く叩きながら、クレアは叫んだ。
夫に似ている娘。
憎らしくてたまらなかった。
クレアはルーシーに虐待を続けた。
「あんたがいるから、お父様が他の女とっ!」
ルーシーは泣きわめいた。クレアはますますムカついてルーシーを叩いた。
(この子のせいよ、この子のせいで私は誰からも愛されない!)

アンドリューはカトリーヌと過ごす夜が楽しかった。
クレアの時とは感じなかった、心のときめきを感じていた。
それは、アイリーンと付き合っていた頃と同じものだった。
もしかしたら、カトリーヌは運命の相手なのかもしれない。
アンドリューは自分が妻帯していることを悔やんだ。
もしカトリーヌが貴族の娘だったら、良い家族が築けただろうに。
私はつくづく、女運がないな。
アンドリューはため息をついた。
カトリーヌも、アンドリューに対してときめきを感じた。
アンドリューが独身だったらどんなにいいだろう。
パーティーが終わろうとしていた。
「次はいつ会えますか?」
「そうですね・・次の木曜にでも。」
「楽しみにしてます。」
カトリーヌはそう言って顔を赤らめながら去っていった。
邸に帰ると、アンドリューは我が目を疑った。
家中の物が壊され、床にはワインが何本も転がっていた。
クレアが恐ろしい形相でアンドリューを後ろから見ていた。
アンドリューは悪寒が走り、部屋に入った。
「あなた、許さないわよ、浮気なんて・・」
クレアはそう言ってクックッと笑った。
カトリーヌはパン屋の裏口からそっと入った。
ガタンと倉庫から物音がした。
カトリーヌはそっと倉庫を覗いてみた。










Novel&Message by 千菊丸さん


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