PURE

第三幕
『嵐』

第3話


作:千菊丸さん
バーテミア家のパーティーは、大勢の貴族で賑わっていた。

バーテミア夫妻がアンドリューに気づき、一礼した。
「今夜はお忙しい中来ていただいてありがとう。」
バーテミア伯爵夫人・スーザンは、そう言ってアンドリューに微笑んだ。
透き通るような薄茶色の髪に、エメラルドグリーンの瞳を持つ彼女は、36歳。
10代の少女に見えるほど、美しい。
「今日はお招きいただいて、ありがとうございます。」
「アンドリュー、今日クレアさんは?」
「さあ・・」
スーザンの夫・エドワードは、ブルネットの髪にブルーの瞳をいたずらに光らせながら言った。
「あなたぁー、置いていくなんてひどいじゃないっ!」
巨体を揺らしながら、クレアがバーテミア家の玄関ホールに現れた。
黒髪は乱れ、厚化粧が崩れた醜女が現れると、貴婦人達は忍び笑いを漏らした。

―御覧なさいな、あの方ったら・・
―アンドリュー様はお気の毒にねぇ・・。

クレアは着くなり、料理が置いてあるテーブルに向かって走っていった。
アンドリューはいたたまれなくなり、「これで失礼を」と言い、その場をあとにしようとした時。

広間に突然、少女が現れた。

少女はチュチュを着て、金髪を高く結い上げ、美しく踊り始めた。少女の身体は蝶のように舞い、時には激しく身体をひねって踊っていた。
人々は少女の踊りにため息を付いた。
「あの子は?」
「私の教え子ですわ。」
「妻は昔バレリーナでね、今はパン屋の娘にバレエを教えていてね。あの子は筋がいいんだ。」
アンドリューは踊っている少女が、夕方邸で会った少女だと気づいた。

やがて踊りが終わり、人々は少女に拍手を送った。
「素晴らしかったわ、カトリーヌ。」
「ありがとうございます、奥様。」
少女とアンドリューの目が合った。
「カトリーヌ、紹介するわね。こちらはアンドリュー=ローズワースさん。」
カトリーヌはアンドリューを見て胸に熱いものがこみあげてきた。
「アンドリュー様、こちらは私の教え子で、カトリーヌですわ。」
「はじめまして。といっても、夕方お会いいたしましたね。」
アンドリューはそう言ってカトリーヌに微笑んだ。
「ええ、あの時はありがとうございました・」
カトリーヌの手を、アンドリューはそっと握った。
「少しお話でもしましょうか?あなたと出会えたことは、100年に1度の幸運なので。」
「ええ、喜んで。」
アンドリューとカトリーヌは、奥へと消えていった。










Novel&Message by 千菊丸さん


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