|
バーテミア家のパーティーは、大勢の貴族で賑わっていた。 バーテミア夫妻がアンドリューに気づき、一礼した。 「今夜はお忙しい中来ていただいてありがとう。」 バーテミア伯爵夫人・スーザンは、そう言ってアンドリューに微笑んだ。 透き通るような薄茶色の髪に、エメラルドグリーンの瞳を持つ彼女は、36歳。 10代の少女に見えるほど、美しい。 「今日はお招きいただいて、ありがとうございます。」 「アンドリュー、今日クレアさんは?」 「さあ・・」 スーザンの夫・エドワードは、ブルネットの髪にブルーの瞳をいたずらに光らせながら言った。 「あなたぁー、置いていくなんてひどいじゃないっ!」 巨体を揺らしながら、クレアがバーテミア家の玄関ホールに現れた。 黒髪は乱れ、厚化粧が崩れた醜女が現れると、貴婦人達は忍び笑いを漏らした。 ―御覧なさいな、あの方ったら・・ ―アンドリュー様はお気の毒にねぇ・・。 クレアは着くなり、料理が置いてあるテーブルに向かって走っていった。 アンドリューはいたたまれなくなり、「これで失礼を」と言い、その場をあとにしようとした時。 広間に突然、少女が現れた。 少女はチュチュを着て、金髪を高く結い上げ、美しく踊り始めた。少女の身体は蝶のように舞い、時には激しく身体をひねって踊っていた。 人々は少女の踊りにため息を付いた。 「あの子は?」 「私の教え子ですわ。」 「妻は昔バレリーナでね、今はパン屋の娘にバレエを教えていてね。あの子は筋がいいんだ。」 アンドリューは踊っている少女が、夕方邸で会った少女だと気づいた。 やがて踊りが終わり、人々は少女に拍手を送った。 「素晴らしかったわ、カトリーヌ。」 「ありがとうございます、奥様。」 少女とアンドリューの目が合った。 「カトリーヌ、紹介するわね。こちらはアンドリュー=ローズワースさん。」 カトリーヌはアンドリューを見て胸に熱いものがこみあげてきた。 「アンドリュー様、こちらは私の教え子で、カトリーヌですわ。」 「はじめまして。といっても、夕方お会いいたしましたね。」 アンドリューはそう言ってカトリーヌに微笑んだ。 「ええ、あの時はありがとうございました・」 カトリーヌの手を、アンドリューはそっと握った。 「少しお話でもしましょうか?あなたと出会えたことは、100年に1度の幸運なので。」 「ええ、喜んで。」 アンドリューとカトリーヌは、奥へと消えていった。 Novel&Message by 千菊丸さん |